頭のゆがみの基本
2020年8月5日
日本赤十字社医療センター小児外科部長、東京大学小児外科教授を歴任後、東京西徳洲会病院で総長を務める。
同院を退任後、現在はメディカルノート社外取締役及びジャパン・メディカル・カンパニー社外取締役。これからの医療には産業界との連携が欠かせないという考えのもと、医療人として・企業人として、双方の視点から医療の進歩に貢献している。
ほかの子と比べて、明らかに頭がゆがんでる?
ふと気づいてしまったことでも、親としては「健康や発育に影響はない?」「絶壁は自然と治るの?」と不安に思いますよね。
この記事では、そんな不安にお応えすべく、赤ちゃんの頭のかたちに関する以下のポイントをしっかりと解決していきます。
・絶壁になってしまう原因
・絶壁は放っておいても治るのか?
・絶壁の具体的な予防方法
・絶壁の治療方法
ご家庭で今日から実践できる簡単な予防から、病院での治療についても解説していますので、ぜひご覧ください。
赤ちゃんの頭の絶壁とは、後頭部が丸みを帯びずに平らになっている状態を指します。
医療用語では、「短頭症(たんとうしょう)」とも呼ばれます。
ゆがみの状態によって「斜頭」「長頭」と診断される場合もありますが、いずれにせよ赤ちゃんの頭は柔らかいため、さまざまな要因によってゆがんでしまうのです。
見た目が気になるだけではなく、寝ているときに頭を左右に動かせなくなるという弊害もあります。
赤ちゃんの頭が絶壁(短頭)になってしまう原因は、主に2つあります。
1つ目は、長い時間を仰向けで過ごしていることです。
赤ちゃんの頭は大人よりも柔らかいため、外からの圧力で頭がゆがんでしまいます。実際に、頭のゆがみの原因はほとんどがこのケースと考えられます。
特に注意すべきなのが、ゆがみが進行して健康や発育に影響が出る場合もあることです。
具体的には、
・おすわりや歩行などの「運動発達」の遅れ
・言葉を発さない、視線が合わないなどの「精神発達」の遅れ
が生じる可能性があるとされています。
日本では、昔から赤ちゃんを仰向けに寝かせるのが主流ですので、絶壁になってしまう赤ちゃんは少なくありません。
2つ目の原因は、骨の発育の異常によって頭がゆがむ病気です。
少しむずかしい名前ですが、「頭蓋骨縫合早期癒合症(ずがいこつほうごうそうきゆごうしょう)」と呼ばれるものです。
これは、元々バラバラで、成長とともに徐々につながり合うはずの頭の骨が、何らかの理由で早くにつながってしまうことにより起こります。
放置しておくと、頭のかたちがゆがむだけでなく、骨が脳を圧迫して発育に影響が出るおそれがあり、早めに病院での診察が必要です。
この病気は、遺伝子の異常が原因のアペール症候群やクルーゾン症候群の症状として現れることもあります。
赤ちゃんの頭の絶壁は、多くの場合は「寝ぐせ(向き癖)」が原因で、遺伝の影響はありません。
しかし、中には「クルーゾン症候群やアペール症候群」のように、遺伝子の異常が関わる病気もあります。
その場合は早急に治療を必要とすることがあるので、お悩みは一人で抱え込まず、ぜひ早いうちに専門医師にお問い合わせください。
赤ちゃんの絶壁は、成長することで赤ちゃんの頭のゆがみが気にならなくなる場合と、反対に強くなる場合があります。
「成長すると自然に気にならなくなるよ」と周囲の人から言われた経験があるかもしれませんが、赤ちゃんの頭のかたちは、その子の人生に関わる大切なことです。
赤ちゃんの頭のゆがみが
・どの原因で起こっていて
・どのくらい進んでしまっているのか
・放っておいたら自然と治るものなのか
の自己判断は避け、頭のゆがみに気付いたら早い段階で必ず専門家に相談しましょう。
Web上の「専門家への無料相談窓口」では、頭のかたちだけでなく、「受診すべき病院」についても、医療機器の専門家にアドバイスを受けることができます。
・わが子の頭のゆがみは本当に大丈夫?
・ヘルメット治療は今すぐに必要なの?
・どの病院・クリニックに受診すべき?
その他、発育に関してだれに相談したらよいかわからない些細な悩みも聞くことができます。ぜひ、ご活用ください。
> 今すぐ無料相談してみる <
赤ちゃんの絶壁を予防する一番の方法は、「寝ぐせ(向き癖)」によって頭がゆがむことを防ぐために、赤ちゃんの頭が平らな部分や枕に触れるポイントを頻繁に変えることです。
頭の同じところばかりがベッドなどに触れるのを防ぐことで、効果が見込めます。
具体的には、
・腹ばいで過ごしてみる
・抱っこの向きを変える
・仰向けで寝る時間を減らす
・音の鳴るおもちゃなどを使って頭の向きを変えるように促す
などが挙げられます。
ぜひ、ご家庭でも実践してみてください。
なお、腹ばいやうつ伏せなどをさせる場合は、長時間放置による窒息の可能性もありますので、必ず保護者が見ているときにおこなうようにしてください。
ドーナツ枕(ドーナツ柄クッション)とは、柔らかい素材でつくられたドーナツ状(中央に穴が空いている)の枕のことです。赤ちゃんの頭をその上に乗せることで、後頭部が直接ベッドに付かないようにつくられています。
ドーナツ状の枕を絶壁の予防に使う人も増えているようですが、医学的には効果が確認されていません。
・ゆがみが進行している
・赤ちゃんの月齢が進んでいる
このようなケースでは、特にドーナツ枕だけでの改善はむずかしいでしょう。
また、柔らかい素材でつくられているため、うつ伏せからの寝返りがむずかしくなり、窒息のおそれがあるので注意が必要です。
赤ちゃんの絶壁の治療方法に「ヘルメット治療」があります。アメリカで始まった治療法ですが、最近では日本でも扱う病院が増えて注目されるようになりました。
ヘルメット治療は、赤ちゃんの頭に専用のヘルメットをかぶせてつけて、頭のゆがみの改善を目指す治療法です。
頭の柔らかい生後3〜7カ月で治療を開始するのが望ましいとされています。
へルメット治療と聞くと「そんなに大掛かりな治療をしなくてはいけないの?」「ヘルメットをかぶるなんて怖い」とハードルが高く感じられてしまうママ・パパもいるかもしれませんが、最近では日本でも多くの赤ちゃんに使われています。
ヘルメット治療のメリットは、次の2つです。
・ゆがみ改善をゆっくりと行うことができ、負担が少ない
・ゆがみが原因となる神経や運動の発達の遅れを予防できる可能性がある
ここからは、ヘルメット治療の流れを簡単にご紹介します。
まずは、ヘルメット治療を扱う病院を探し、下記のような方法でコンタクトを取りましょう。
・かかりつけの小児科から紹介してもらう
・ヘルメットを扱っている企業のホームページから提携病院を調べる
病院の専門医にヘルメット治療が必要な状態なのかを判断してもらうことができます。
また、当サイトの【無料相談】(03-6555-4030)では、お住まいの状況にあわせて、最適な病院・クリニックをご紹介しています。
提携医療機関によっては、紹介状がないと初診時の料金が高くなる場合がありますので、必ず確認をしてください。
向き癖やヘルメット治療について、お悩みになっていること、もっと知りたいことなど、ぜひお気軽にご相談ください。相談室スタッフが、専門医院のご紹介等、最適な解決策をお答えします。
病院で治療が必要と判断された場合、ヘルメットを作ります。
3Dスキャナーを使って、赤ちゃん一人ひとりの頭のかたちに合わせたオーダーメイドのヘルメットが作られます。ヘルメット装着開始時期は、初診から2週間後が目安です。
なお、費用は診断する医療機関にもよりますが、約40〜50万円ほどです。
保険の適用はありませんが、医療費控除の対象となり補助が出ます。
診断から2週間程度で、病院にヘルメットが届きます。
医師による状態確認のもと、装着して問題がなければ、1日2〜3回、数時間から少しずつヘルメットをしている状態に慣らしていきます。
最終的には、お昼寝や夜眠るときにも装着をして、お風呂以外の23時間はヘルメットをかぶります。
おおよそ1〜2カ月、慣れが早い赤ちゃんでは1〜2週間で違和感なくかぶり続けることができるようになります。
ヘルメット治療開始後は、2〜4週間ごとに病院の診察を受け、ヘルメットの調整をおこないます。
診察では、
・経過
・肌のトラブルの確認
・頭の成長に合わせてヘルメットの調整
をおこなっていきます。
ヘルメット治療の終了時期は、専門医が判断しますが、赤ちゃんの様子に合わせて半年〜1年程度です。頭蓋骨の継ぎ目である「大泉門」の閉じ具合と頭蓋骨自体が硬くなるタイミングが一つの目安となります。
ヘルメット治療の費用は、病院によって差があります。
目安としては、下記を考えておきましょう。
・初診料:6000円前後
・体位変換で様子を見る場合:再診料として4000円前後
・ヘルメット治療をおこなう場合:費用として40〜50万円
これに、別途検査の費用がかかる場合もあります。
総額は、治療の経過やゆがみの進行具合によっても変わってきますので、病院に直接相談しましょう。
ヘルメット治療は、医師の診断と指導のもとでおこなわれるため安全性が高いとされています。
医療機器として厚生労働省から認可を受けているヘルメットをおすすめします。
医師は、
・・治療に最適な月齢かの判断
・・治療することで効果が見込まれるかの判断
・・頭にぴったりのヘルメットをオーダーメイド
・・定期的なチェックでトラブルの有無や、効果の確認
など、多くの診断と指導をおこなっていきます。
ただしヘルメットは、病院で医師から診断・処方されるものなので、患者が直接購入することはできません。必ず、医師の指導のもとで治療をおこなうようにしましょう。
上図のように、ヘルメットの内側に低反発クッションを採用しているものや、赤ちゃんの頭への負担を軽減するために軽量化されているものもあります。専門医と相談の上、赤ちゃんにぴったりのヘルメットを探してみてください。
絶壁の原因はいくつもありますが、ほとんどが寝ぐせ(向き癖)によるゆがみです。
自然に治ることもありますが、頭のゆがみが進行してしまうと、赤ちゃんの将来に関わる可能性もあります。
治療をするなら、赤ちゃんの頭が柔らかい生後3〜7カ月でスタートするのが望ましいです。
・病院を受診すべきか?
・わが子の頭のゆがみは大丈夫?
・ヘルメット治療はわが子に必要なのか?
・どの病院・クリニックに受診すべきか?
・向き癖や発達など、不安に思っていること
このようなお悩みは自己判断がむずかしいので、あとから後悔しないためにも、お一人で抱え込まずに、ぜひお気軽に相談してみてくださいね。
日本赤十字社医療センター小児外科部長、東京大学小児外科教授を歴任後、東京西徳洲会病院で総長を務める。同院を退任後、現在はメディカルノート社外取締役及びジャパン・メディカル・カンパニー社外取締役。これからの医療には産業界との連携が欠かせないという考えのもと、医療人として・企業人として、双方の視点から医療の進歩に貢献している。
日本赤十字社医療センター小児外科部長、東京大学小児外科教授を歴任後、東京西徳洲会病院で総長を務める。同院を退任後、現在はメディカルノート社外取締役及びジャパン・メディカル・カンパニー社外取締役。これからの医療には産業界との連携が欠かせないという考えのもと、医療人として・企業人として、双方の視点から医療の進歩に貢献している。
この相談室は、医療機器メーカである株式会社ジャパン・メディカル・カンパニーが運営。赤ちゃんの頭の形に関する疑問・質問を受けつけています。
向き癖やヘルメット治療について。お悩みになっていること、もっと知りたいことなど、ぜひお気軽にご相談ください。
相談室スタッフが、専門医院のご紹介等、最適な解決策をお答えします。