赤ちゃんの頭のかたち外来

当院は、2022年に赤ちゃんの頭のかたち外来を開設してから、これまで200人以上の親御様のご相談を受けてきました。
赤ちゃんの頭がゆがむ原因には、大きく分けて病気によるものと病気でないものがあり、まずはその診断が重要だと考えています。当院では小児科と脳神経外科が協働して、発達・発育のお悩みにも寄り添いながら、適切な診断・治療を心がけています。

※受診には、かかりつけの医師からの紹介状と事前の予約が必要となります。当院の地域連携を通して予約をお願いいたします。
ヘルメット治療

赤ちゃんの頭のゆがみについて

赤ちゃんの頭がゆがむ原因は、大きく分けて2つあります。
骨が早期にくっついてしまう「頭蓋縫合早期癒合症」に代表される病気によってゆがんでしまう「病的頭蓋変形」と、子宮内、お産時、むきぐせなど外部からの圧力を受けてゆがんでしまう「位置的頭蓋変形」があります。
まずは赤ちゃんの頭のかたちのゆがみが病気によるものか、病気でないものか適切な頭蓋健診を受けることが必要です。
ヘルメット治療について相談したい方は、当院が導入しているヘルメット「Qurum Fit」のメーカーが運営する「赤ちゃんの頭のかたち相談室」に無料でご相談いただけます。

< Webからは24時間受付中 >

頭蓋健診について

病的頭蓋変形かどうか判断するために、当院では頭部X線またはCTを撮影します。撮影後に医師が適切な診断を行い、その結果に応じた治療を同じ施設内で提供しています。またCTを撮影するというと被ばくが気になる方も多いと思いますが、当院では撮影時に錫(スズ)のフィルターを使用しており、通常のCTの50分の1という低被ばくにて撮影が可能となっています。
位置的頭蓋変形すべてがヘルメット治療の適応ではなく、理学療法で十分改善可能なこともあります。しかし耳の位置やおでこにまで変形が及ぶような重症例ではヘルメット療法以外に有効な治療法がありません。
またヘルメット治療は、早期に開始することが変形の改善につながり、その治療期間は遅くても6か月齢から開始し、6か月間ほど装着するのが一般的です。
当院のスタッフは定期的にヘルメット適正治療研修会に参加しています。

スズフィルターによる低線量CT撮影

低被ばくのCT撮影 頭蓋健診

病的頭蓋変形について

赤ちゃんの頭の骨は大人と異なり、いくつかの骨に分かれています。成人になるにつれて骨と骨がくっついていき、強固な頭蓋骨が形成されます。乳児期には脳が急速に拡大するため、頭蓋骨も脳の成長に合わせて拡大しますが、骨と骨が早期に癒合して成長を妨げてしまう場合があります。これを頭蓋縫合早期癒合症と呼びます。
早期に適切な診断、治療を受けないと頭蓋骨の正常な発育の障害や、頭や顔の骨の形態異常、手足の異常が起こる可能性があります。

位置的頭蓋変形について

位置的頭蓋変形は子宮内やお産時に頭が変形してしまったり、向き癖などにより圧力によって頭がゆがんでしまうことをさします。
位置的頭蓋変形のゆがみについては形に応じて「斜頭症」「短頭症」「長頭症」の3つに分けられます。

斜頭症

斜頭症(しゃとうしょう)は、後頭部が斜めにゆがんでしまい、左右非対称になっている症状です。
主な原因は、向きぐせや胎児期の子宮内環境による後頭部への圧力とされています。
ゆがみが進行すると耳の位置や顔面が左右非対称になってしまうこともあります。
そのような場合には、治療が必要になることもあります。
斜頭症

短頭症(絶壁頭)

短頭症(たんとうしょう)は、後頭部が丸くならず平坦になってしまう症状です。一般的に絶壁とも呼ばれます。
主な原因は、赤ちゃんが仰向けに寝ることで後頭部に圧力がかかることによるものとされています。
短頭症(絶壁頭)

長頭症

長頭症(ちょうとうしょう)は、頭部が通常より縦に長く伸び、後頭部が著しく突き出ている症状です。
主な原因は、横向きに寝ることによって側頭部に圧力がかかることとされています。長頭症は、病気による変形の特徴と似ているため、注意が必要です。
長頭症

頭のゆがみの予防方法

赤ちゃんの頭のゆがみ度合いを大きくしないために家庭でできる予防方法もあります。

寝かせる位置の工夫

寝ている赤ちゃんに同じ方向を向かせないことで、片方の後頭部に圧が長時間かかることなく、変形もしにくくなります。
例えば
・授乳のたびに頭と足の位置を交互に入れ替えて寝かせる
・両親が話しかける方向を変える

まずは、寝ている赤ちゃんの顔の向きを観察してみましょう。

タミータイム

タミータイムは首座りの練習やうつ伏せ練習の方法として用いられますが、頭のゆがみを予防する方法としても有効です。
うつ伏せになることで頭にかかる圧力を防げます。
分娩施設から自宅に戻ったら、1日2.3回、3〜5分くらいからはじめてください。
保護者の監視下でおむつ替えの直後や、目が覚めた後に行いましょう。
※ 顔を動かすことのできない時期のうつ伏せ寝は窒息の恐れがありますので注意が必要です。寝かせる際は仰向け寝にしましょう。

ヘルメット治療

頭のゆがみが重度の場合は自然な形に戻るのが難しく、頭蓋矯正ヘルメットを使用しての治療が必要になります。

ヘルメット治療とは

生後2~6ヶ月がヘルメット治療開始の適齢期。なるべく早くご相談を。
ヘルメット治療とは、赤ちゃんの頭のゆがみを改善するために行われる治療のことです。赤ちゃんの頭の骨はやわらかいため、日常生活のちょっとしたことでゆがんでしまいます。こうしたゆがみを改善するために、頭蓋形状矯正ヘルメットをかぶることで、自然な頭の形に頭蓋骨を成長させていく治療が「ヘルメット治療」です。
頭蓋骨がまだやわらかい生後2~6ヶ月の間にこの治療を開始すると、より良い効果が得られるとされています。
ヘルメット治療で使用するヘルメットの構造

ヘルメット治療で重要なこと

ヘルメット治療では「治療開始後のサポート」が重要になります。
赤ちゃん一人ひとりの成長や治療の進捗を見極め、適切なメンテナンスを施すために、経験豊富な医師とメーカーの協同が不可欠です。
メーカーの豊富なノウハウやデータにより、正確な診療を実現しています。

頭蓋矯正ヘルメット

当院ではジャパン・メディカル・カンパニーの日本製ヘルメットを用いてヘルメット治療を行います。
最先端3Dプリンタによる、強度と軽さを両立したヘルメットは、赤ちゃん一人ひとりに合わせた完全オーダーメイドで、日本人の骨格や、高温多湿な日本の気候を踏まえて設計されています。
15,000症例を誇るジャパン・メディカル・カンパニーのスタッフが常駐し、安心安全の医療サービスの提供をしています。

Qurum Fit(クルムフィット)

「一般社団法人日本頭蓋健診治療研究会」の理事を中心とした、多岐にわたる領域の医師と、国産矯正ヘルメットのメーカーが共同開発したヘルメットです。
赤ちゃんにフィットする理想のヘルメットを目指して、ヘルメットからクッションまで、ゼロから設計されました。
ヘルメット本体はもちろん、クッションの水洗いも可能で清潔な状態を保てます。
赤ちゃんの頭蓋矯正ヘルメット

ヘルメット治療の流れ

当院で行うヘルメット治療の流れを紹介します。

Step1 適応診断をする

向き癖による頭の変形(斜頭など)に対して、視診・触診を通して、変形の診断と重症度を判定し、その程度や時期に応じて治療の必要性を判断します。

Step2 必要であれば頭部X線/CT検査をする

向き癖による斜頭でなく早期融合症の鑑別が必要な場合は頭部X線/CT検査を行い疾患の有無を確認します。典型的な向き癖の症例では検査は行いません。

Step3 ヘルメットをつくる

ヘルメット治療の適応範囲内の重症度かつヘルメット装着を希望される方には、当日※または後日、3Dスキャナーを使用して頭の形を撮影します。撮影したデータをもとに、現在の変形した形から、矯正後の最終的な頭の形を想定したオーダーメイドのヘルメットを作成します。
ヘルメット治療は保険診療ではなく、自費診療(55万円)となります。
※当日希望された場合でもヘルメット業者の方(東京)が不在の場合は、撮影は後日となります。

Step4 治療スタート

治療申し込み時から2週間前後に、ヘルメットの装着を開始。基本的には入浴以外の1日23時間、6ヶ月前後の装着を推奨しています(個人によって期間が異なります)。

Step5 定期的な診察

約4週間ごとに診察し、ヘルメットの装着状況、頭蓋成長の度合いや頭蓋変形の改善度に合わせて、ヘルメット内部のクッションの調整を行います。また装着から2ヶ月、5ヶ月(卒業)時に、再度3Dスキャナーを使用して頭の形を撮影します。

Step6 治療終了

治療終了時期は、頭蓋変形の改善度、頭蓋成長の度合い、治療に必要な装着時間の確保の有無などを基に、医師が判断します。

ヘルメット治療効果例

月齢が早く、装着時間も長くつけることができるとかなり改善効果が期待できます。 ※ 開始した月齢や、装着時間、成長の速度によって個人差がございます。
ヘルメット治療効果例

診療受付

初診・再診

隔週 火曜日 午後

担当医師の紹介

吉田 丈俊

吉田丈俊先生
富山医科薬科大学卒業
富山大学附属病院周産母子センター長/教授
日本小児科学会専門医、日本周産期・新生児医学会新生児専門医/暫定指導医、新生児蘇生法専門コースインストラクター、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医

猪又 智実

猪又智実先生
自治医科大学卒業
富山大学附属病院周産母子センター診療講師
日本小児科学会専門医/指導医、 日本周産期・新生児医学会新生児専門医/指導医、新生児蘇生法専門コースインストラクター

加藤 理子

加藤理子先生
富山大学卒業
日本小児科学会専門医

福島 優

福島優先生
富山大学卒業
日本小児科学会専門医

赤井 卓也

赤井卓也先生
富山医科薬科大学卒業
富山大学医学部脳神経外科准教授
日本脳神経外科学会専門医、日本脳卒中学会専門医、日本がん治療認定医機構がん治療認定医、日本神経内視鏡学会神経内視鏡技術認定医/評議員、日本小児神経外科学会認定医/理事、日本内分泌学会内分泌代謝科(脳神経外科)専門医

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