頭のゆがみの基本
2020年6月5日
健診などで赤ちゃんの頭が少し大きいと言われると、「うちの子は大丈夫だろうか?」と心配になるもの。赤ちゃんの頭が大きいときは、そのまま様子を見ていてもよいのでしょうか。今回は、赤ちゃんの頭が大きい原因とその対処法をご紹介します。
赤ちゃんの頭が大きいと、病気なのではないかと心配になる保護者の方もいるのではないでしょうか。しかし、赤ちゃんの頭が大きいからといって必ずしも病気だというわけではありません。
赤ちゃんの頭の大きさ(頭の周囲の長さ)は出生時にはだいたい30〜36cm程度(男児)、30〜35cm程度(女児)で、成長とともに大きくなり生後12カ月頃には43〜48cm程度(男児)、41〜46cm程度(女児)になります。
定期的に乳児健診を受けていて、特に問題を指摘されていなければそれほど気にする必要はないでしょう。
しかし、直近2〜3カ月の間に急に頭が大きくなっている、風邪の症状がないのに元気がない、よく眠る、繰り返し嘔吐する、ひきつけを起こすなどの症状がある場合には早めに病院を受診してください。急いで治療しなければならない病気の可能性があります。
赤ちゃんの頭が大きくなる原因はいくつかあります。ここでは、考えられる原因について見ていきましょう。
両親のどちらかの頭が大きい場合は、遺伝によって赤ちゃんの頭が平均よりも大きくなりやすいと言われています。そのため、赤ちゃんが元気で、特に頭のゆがみも見られないのであればそれほど心配はいらないと考えられます。心配なときは、かかりつけの小児科の医師に相談するとよいでしょう。
中には病気によって赤ちゃんの頭が大きくなることがあり、この場合には注意が必要です。赤ちゃんの頭が大きくなる病気として水頭症や脳腫瘍があげられます。
水頭症は、赤ちゃんの頭の中の髄液と呼ばれる液が通常よりも多くたまってしまう病気です。頭が大きくなるほかに、刺激に敏感になったり、よく眠るようになったりなどの症状が出ます。嘔吐、けいれんが出ることもあります。水頭症は赤ちゃんの頭が大きくなる原因として頻度の高い病気と言われ、放っておくと脳の発達に影響が及ぶ可能性があることから治療が必要です。
脳腫瘍は、脳にできるがんのことです。赤ちゃんの場合は水頭症と同様に刺激に敏感になる、よく眠る、嘔吐するなどの症状が見られます。赤ちゃんを含む子どもの脳腫瘍の原因のほとんどは明らかではありません。
これらの病気は早めに治療できるかどうかで今後の赤ちゃんの生命や状態が左右されます。頭の大きさのほかにも上記にあげた気になる症状が続く場合にはなるべく早く病院を受診してください。
赤ちゃんの後頭部が平らになる「絶壁」の状態だと、頭の横幅が通常よりも広がるために、正面から見ると頭が大きく見えることがあります。絶壁は医学的には短頭症と言われ、仰向けで寝る赤ちゃんによく見られる頭の変形です。後頭部が平らになるほか、おでこが突き出る、普通よりも頭頂部が高いなどの特徴が見られます。
絶壁のほとんどは寝かせ方など外的要因によるもののため、緊急度は高くありません。しかし、絶壁が進行していく場合には一度医師に相談することをおすすめします。
赤ちゃんの頭が大きいと感じたときには、頭の大きさのほかに気になる症状があるかどうかで緊急度が変わります。
ほかに気になる症状がない場合には急いで受診する必要はないでしょう。しかし、健診の際などに医師に相談してみることをおすすめします。特に症状が見られなくても病気が隠れている可能性があるからです。
頭の大きさ以外にも元気がないなど気になる症状がある場合には早めに受診してください。明らかにぐったりしていれば救急外来や救急車を利用するなどしてなるべく早く病院に連れて行ってあげてください。
頭が大きいだけでなくゆがみもある場合には、ゆがみの程度によっては治療が必要なこともあります。赤ちゃんの頭はやわらかくゆがみやすい状態のため、ゆがみも気になるときには頭の大きさとあわせて医師に相談するとよいでしょう。
赤ちゃんは自分で具合が悪いと訴えることができません。そのため、保護者の方が日々の生活の中で頭の大きさを含め赤ちゃんの様子を観察して、異変を感じたら適切に対処することが大切です。もし気になることがあれば放っておくことは避け、かかりつけの小児科の医師に気軽に相談しましょう。
保護者の方が不安に感じてあれこれ思い悩むよりも、早めに相談したほうがよいでしょう。早めの相談によって初期の段階で病気や異常を見つけられ、適切な治療につなげられます。
日本赤十字社医療センター小児外科部長、東京大学小児外科教授を歴任後、東京西徳洲会病院で総長を務める。同院を退任後、現在はメディカルノート社外取締役及びジャパン・メディカル・カンパニー社外取締役。これからの医療には産業界との連携が欠かせないという考えのもと、医療人として・企業人として、双方の視点から医療の進歩に貢献している。
日本赤十字社医療センター小児外科部長、東京大学小児外科教授を歴任後、東京西徳洲会病院で総長を務める。同院を退任後、現在はメディカルノート社外取締役及びジャパン・メディカル・カンパニー社外取締役。これからの医療には産業界との連携が欠かせないという考えのもと、医療人として・企業人として、双方の視点から医療の進歩に貢献している。
この相談室は、医療機器メーカである株式会社ジャパン・メディカル・カンパニーが運営。赤ちゃんの頭の形に関する疑問・質問を受けつけています。
向き癖やヘルメット治療について。お悩みになっていること、もっと知りたいことなど、ぜひお気軽にご相談ください。
相談室スタッフが、専門医院のご紹介等、最適な解決策をお答えします。