赤ちゃんが生まれると、沐浴や授乳、抱っこなどで赤ちゃんに触れ合う機会も多くなりますよね。
そんなときに「頭のかたちがゆがんでいるような気がする…」と感じたことはありませんか?
赤ちゃんの頭のかたちは外からのちょっとした刺激で、変形しやすいのが特徴です。
本記事では赤ちゃんの頭のかたちについて解説すると共に、頭のかたちの医療機関に相談した方が良い理由を解説します。
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目次
生後2ヶ月頃の赤ちゃんの頭は変形しやすい
赤ちゃんの頭のかたちはとても変形しやすく、このことを専門用語で頭蓋変形と呼びます。
生まれて間もない赤ちゃんの頭蓋骨は、下図のように、生後1歳半頃まではいくつかのパーツとして脳の表面に隙間を開けて並んでいます。
身体が発達するにつれ、2歳頃になるとこの隙間が閉じてきて硬くなってきますが、それまでは外部からの圧力や衝撃などの刺激で簡単に変形しやすい状態となっているのです。
頭蓋変形の原因は?
生後2ヶ月頃の赤ちゃんの頭はとてもやわらかく、外部からの圧力によって変形してしまうことはごく自然なことです。
原因は、大きく分けて3つあります。
- 同じ向きで寝る向き癖がついてしまっている
- 頭蓋骨が変形する病気である
- 出生前の胎内での位置関係や出産時の難産などで、頭にかかる圧が高かった
頭蓋変形の原因のひとつに、寝る時の「向き癖 」があります。
生後2ヶ月頃までの赤ちゃんは寝返りを打つことができないため、同じ向きで長時間寝ることが多いでしょう。すると頭の一部に圧力がかかることにより、頭のかたちがゆがんでしまうことがあります。
ほかにも出産時、難産の場合に行われる「吸引分娩」も原因のひとつになることがあります。吸引分娩とは、吸引カップを赤ちゃんの頭に吸いつけて引っ張り出す方法で、この時の力により頭のかたちがゆがんでしまう可能性があります。

このように日々の生活や出産前後時の状況で、赤ちゃんの頭のかたちがゆがんでしまうことはよくあることです。
赤ちゃんの頭のかたちがゆがんでしまっても、頭蓋骨がやわらかいうちは矯正することもできます。
ただし一番怖いのが病気が原因で起こる頭蓋変形です。このケースについては後半で詳しく解説します。
頭蓋変形の3つの種類
頭蓋変形は、見た目の違いによって呼び方が変わります。代表的な3つを見ていきましょう。
1. 斜頭症
頭のかたちが左右非対称で、頭の一部が扁平となっている状態のことです。
斜頭症では耳の位置が左右で非対称だったり、頬部が出っ張ったりと顔面にゆがみが出る可能性があります。

2. 長頭症
頭の前後幅が横幅に比べて異常に長くなっている状態のことです。
頭を上や横から見ると、明らかに長くなっていることが分かります。

3. 短頭症
日本人に多く見られる頭のかたちで、頭の横幅が長く、後頭部が丸みを帯びずに平らになっている状態のことです。
別名「絶壁」といいます。

赤ちゃんの頭のかたちは自然には治らない
赤ちゃんの頭のかたちは「自然に治るよ」や「様子を見よう」と言われることがありますが、実際はどうなのでしょうか?
軽度のゆがみである場合は、成長とともにゆがみが目立たなくなることはありますが、ゆがみが強い場合は、自然には大きくは改善されません。
もし、お子さまのあたまのかたちにご不安があれば、医療機関に相談してみると良いでしょう。
医療機関の診察を受けることにより、「我が子の頭のゆがみはどの程度なのか」や、「治療が必要なのかどうか」などがわかり、不安の解消につながるはずです。
頭のゆがみをそのままにしておくとどうなるの?
赤ちゃんの頭蓋変形をそのままにしていると、のようなことが起こる可能性があるのか確認しておきましょう。
1. 原因となっている病気を見落としてしまう可能性がある
頭蓋縫合早期癒合症(ずがいほうごうそうきゆごうしょう)という病気が原因で頭蓋変形がおきる場合があります。
前述したとおり、生後間もない赤ちゃんの頭蓋骨はいくつかのパーツに分かれています。パーツごとのつなぎ目を頭蓋縫合と呼び、この頭蓋縫合が何らかの理由で早期にくっついてしまうのが、頭蓋縫合早期癒合症です。
この場合、脳が正常に発達できず、運動能力や知能の発達に影響が出てしまう可能性があります。早期に手術を検討する必要がある病気です。
2. 運動能力や知能の発達にも影響する可能性がある
頭蓋変形は見た目の問題だけではなく、お子さまの運動能力や知能の発達にも影響が出る可能性があります。
実際に海外では、病気が原因ではない頭蓋変形の場合でも、運動能力や知能の発達に遅れを伴う報告がされています。
Matthew L.S, et al.“Case-Control Study of Neurodevelopment in Deformational Plagiocephaly.” Pediatrics 2010 125(3), e537 –e542
頭のかたちを治す方法はある?
一度変形してしまった赤ちゃんの頭のかたちは、残念ながら自然に大きく改善されることはありません。
しかし、頭がやわらかいうちであれば、矯正することが可能です。ここでは、ヘルメット治療に関して紹介します。
ヘルメット治療
頭のゆがみを改善する方法に、「ヘルメット治療」と呼ばれるものがあります。
ヘルメット治療とは、頭のゆがみを改善するために行う治療法です。頭蓋骨がやわらかくて、かたちが変わりやすい時期に、赤ちゃんの頭のやわらかさを利用して治療を行います。
ヘルメットを長時間かぶり続けることで、やわらかい頭を保護しながらすでに変形して平らになってしまった部分の成長をうながすとともに、出っ張った部分を適度にヘルメットで加圧することで、かたちを整えていきます。
適正開始時期:生後2〜6ヶ月 治療期間 :6ヶ月〜1年、平均6ヶ月 費用 :約40万円〜 |
ヘルメット治療は1990年代に米国で始まりました。
米国発祥の治療方法なので、以前は日本でも米国製のヘルメットを使って治療をしていましたが、2010年頃からは日本の赤ちゃんに合わせて軽量化され、日本の高温多湿の気候に対応し、肌トラブルの回避や通気性を考慮して作成されたメイドインジャパンのヘルメットが登場しています。
また赤ちゃんの頭のかたちを矯正するのであれば、頭蓋骨がやわらかいうちに対応する必要があります。具体的には生後2~6ヶ月頃が最適な治療開始の時期と推奨されます。
頭のかたちは医療機関に相談しよう
我が子の頭のかたちが気になっても、周りの人から「考えすぎだよ」や「自然に治るよ」と言われ、3ヶ月目まで待ってみよう、と判断を先延ばしにしている方もいらっしゃるかもしれませんね。
確かに、ママやパパだけでは、生後2~3ヶ月頃の赤ちゃんの頭のかたちを矯正した方が良いかどうか判断するのは難しいでしょう。そんなときには不安を抱えたままにせず、医療機関へ相談してみましょう。
まとめ|頭のかたちはご家族だけで悩まずに医療機関に相談しよう
生後2ヶ月頃の赤ちゃんは寝返りを打つことができず、向き癖によって頭のかたちがゆがみやすくなっています。
赤ちゃんの頭のゆがみは自然に大きく改善されることはありません。また、ゆがみが強く、ヘルメット治療などで頭のかたちを矯正する場合には、適切な時期があります。
赤ちゃんの頭のかたちが少しでも気になるのであれば、医療機関に早めに相談してみましょう 。
ご家族だけで悩まずに、医療機関に相談することで、ご家族、お子さまの将来の笑顔につながることでしょう。

1989年、東北大学医学部卒業、東北大学脳神経外科入局。1997年、東北大学医療技術短期大学講師。2000年、東北大学医学部脳神経外科講師。2002年、米国フェニックス、St. Joseph’s Hospital and Medical Center, Barrow Neurological Institute 臨床研修留学。2004年、ドイツ:ハノーバー、International Neuroscience Institute 脳神経外科 臨床研修留学。2004年〜2014年、東京慈恵医科大学脳神経外科講師。2014年〜脳神経外科・脳ドック、リハビリテーション病院、人間ドック・検診クリニック部長、院長、内科・整形外科クリニック、訪問診療、と総合診療を経験ののち、2018年より医療法人社団ICVS東京クリニック勤務。2019年、同クリニック院長・理事、現在に至る。
まずは無料で相談してみませんか?
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