ヘルメット治療

ヘルメット治療で肌荒れしてしまうのはなぜ?原因と対策を解説


ヘルメット治療をしようと思ったときに、気になるポイントのひとつが「赤ちゃんの肌荒れ」でしょう。
  • ヘルメット治療で肌トラブルが起こらないか心配…
  • 肌トラブルがあるとヘルメットがつけられなくなるのでは?
  • アトピーがあるので不安

上記のような理由から、ヘルメット治療に対して不安を感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか?

たしかにヘルメット治療で肌荒れが起こる可能性はありますが、日頃の行動で肌荒れを予防したり、対策を講じたりすることができます。

本記事では、ヘルメット治療での肌荒れの原因や対策について紹介します。

肌荒れの原因や対策を知り、治療への悩みや不安を1つでも解消しておきましょう。

小室 広昭 先生

1984年東京大学医学部医学科卒業。東京大学小児外科学教室入局。東大病院、日本赤十字社医療センター、埼玉県立小児医療センター、St.Jude小児病院留学などを経て、1997年より自治医科大学講師。2000年より筑波大学講師および准教授。2011年より東京大学小児外科准教授。2013年より上尾中央総合病院小児外科科長ならびに埼玉医科大学大学病院客員教授。2022年より0歳からの頭のかたちクリニック理事長。現在に至る。

ヘルメット治療中の肌荒れの原因は?


生まれたばかりの赤ちゃんの肌はデリケートで、色々な刺激に対するバリア機能が不十分です。

そのため、もともと肌荒れをしやすい性質をもっていますが、ヘルメット治療中には以下のような原因も考えられます。

1日23時間と長い間ヘルメットを装着するため


ヘルメット治療は、慣れると基本的にはお風呂以外の時間はヘルメットを装着します。

そのため、頭が蒸れやすくなり、汗によるあせもや、かぶれができやすくなります。

爪で頭を強く引っ掻いてしまうため


ヘルメットをつけることに慣れてないうちは、赤ちゃんが自らヘルメットを外してしまうことがあります。

そのときに爪で自分の頭を強く引っ搔いてしまい、傷がついて肌荒れを起こしてしまう場合も見受けられます。

脂漏性皮膚炎の場合もある


反対に、どの赤ちゃんでも起こりうる肌荒れを「ヘルメットによる肌荒れ」だと勘違いしてしまう場合があります。それが「脂漏性皮膚炎」です。

脂漏性皮膚炎とは、赤みや落屑(剥離した角質が皮膚表面に蓄積しはがれ落ちること)を主体とする発疹です。

頭部の大泉門(4枚の頭蓋骨の合わさりの大きな前頭部の隙間)を中心に見られやすい傾向から、ヘルメット特有の肌荒れを思われる方も多いですが、どの赤ちゃんにも起こりうる症状と覚えておきましょう。

赤ちゃんの頭にかぶれやあせもができたらどうする?


赤ちゃんの頭にかぶれやあせもができたら、まずはヘルメット治療を担当している医師に相談しましょう。

症状に合わせて薬を処方してもらえたり、ヘルメット装着についてアドバイスがもらえます。

処方される薬について不安な場合は医師や薬剤師にしっかりと確認しましょう。

赤ちゃんがヘルメットの装着を嫌がったり、着用中に激しく泣いたり嫌がったりするときには肌トラブルが原因となっていることもあります。

頭皮にかぶれやあせもが起きていても、髪の毛が邪魔をして肌の状態が見えにくい場合がありますので、日々、赤ちゃんの状態をしっかりと観察して、こまめなケアを心がけてあげてください。

赤ちゃんによって個人差はあるものの、ヘルメット治療を開始してしばらくは何かしらの肌トラブルが起きる可能性があることを知っておくと、肌トラブルが起きた際にも冷静に対処できます。

ヘルメット治療を始める前に、肌トラブルへの対処法を医師に相談しておくのもおすすめです。

日常生活でできる赤ちゃんの肌荒れ対策


赤ちゃんの肌トラブルへの対策として、普段から以下の点を意識してあげると良いでしょう。
  • 汗をこまめに拭く
  • 入浴は毎日させる
  • ヘルメットの内側を定期的に掃除する
  • 爪を切る

それぞれについて詳しく解説します。

1. 汗をこまめに拭く


あせもやかぶれは、汗が皮膚の中に溜まってしまったり、汗自体が刺激となることによって起こります。

赤ちゃんの汗はこまめに拭いてあげましょう。汗をかきやすい夏場は特に注意が必要です。

また、汗を拭くときには、なるべく赤ちゃんの肌を傷つけないようにやわらかいタオルで優しく拭き取ってあげましょう。

汗が引かない場合は、赤ちゃんの服装や部屋の温度などを調整し、涼しい環境を作ってあげましょう。

2. 入浴は毎日させる


お風呂に入ったり、こまめにシャワーを浴びたり、皮膚を清潔に保つようにすることも大切です。

入浴中はヘルメットを外し、頭を洗うときには赤ちゃん用のシャンプーで優しく洗ってあげましょう。入浴後にはしっかり水分を拭き取ることも忘れずにしてください。

3. ヘルメットの内側を定期的に掃除する


ヘルメットを清潔にしておかないと、汚れや雑菌が原因で肌荒れしてしまうことがあります。

なるべく毎日ヘルメットを掃除して、綺麗な状態に保ってあげましょう。

掃除のときは、ヘルメットの内側を中心にアルコールが含まれたタオルなどでしっかり除菌することも大切です。

4. 爪を切る


ヘルメットを外したとき、赤ちゃんが頭を引っ掻いてしまうことがあります。

掻いてしまったときに赤ちゃんが自分で肌を傷つけてしまわないように、こまめに爪を切ってあげましょう。

また、赤ちゃんの頭を拭く時などに傷つけてしまわないよう、ママとパパも爪を切っておきましょう。

アトピー性皮膚炎の赤ちゃんでもヘルメット治療を受けられる?


アトピー性皮膚炎とは、皮膚のバリア機能の低下により、湿疹が良くなったり、悪くなったりを繰り返す病気です。

アトピー性皮膚炎が、ヘルメット治療を受けられない理由にはなりませんが、もし不安な場合は、事前に皮膚科の医師にも相談しておくことをおすすめします。

これからヘルメット治療を検討される方へ


医療機関によって異なりますが、おおまかな診察の流れは、病院探しの段階も含めて以下の通りです。
  1. 頭のゆがみを診てくれる医療機関を探す
  2. 医療機関を受診する
  3. 頭のゆがみの程度を診断する
  4. 赤ちゃんに合わせたヘルメットを作成する
  5. ヘルメット治療の開始

1. 頭のゆがみを診てくれる医療機関を探す


まずはお住まいの地域で頭のゆがみを診てくれる医療機関を探しましょう。

初診予約が必要な場合や、紹介状が必要な場合がありますので、医療機関のホームページで確認したり、直接医療機関へ問い合わせたりすることをおすすめします。

2. 医療機関を受診する


医療機関を受診し、赤ちゃんの頭のゆがみを診察してもらいましょう。

検査は、CT・レントゲン・エコー検査・3Dスキャナでの撮影などがあります。

この段階で何らかの疾患が見つかった場合、ヘルメット治療の前に発覚した疾患の治療が優先される場合があります。

3. 頭のゆがみの程度を診断する


先に治療すべき疾患がなければ頭のかたちを計測し、頭のかたちのゆがみの程度を診断します。

ヘルメット治療を検討するゆがみがあり、ご家族が希望した場合はヘルメットの作成に入っていきます。

4. 赤ちゃんに合わせたヘルメットを作成する


ヘルメット治療を受けることが決まったら、ヘルメットを作成していきます。

3Dスキャナで読み取ったデータをもとに、一人ひとりの赤ちゃんに合わせたヘルメットを作成します。

ヘルメットの作成には、2週間ほどみておくとよいでしょう。

5. ヘルメット治療の開始


ヘルメットが届いたら、いよいよヘルメット治療開始です。

治療期間は約6ヶ月で、2〜6週ごとにヘルメットの調整・経過をおこなっていきます。

頭蓋骨のゆがみの改善具合と、頭囲の成長具合、頭蓋骨のかたさ、1日の装着時間などから治療終了時期が判断されます。

関連する記事


医療機関をどのように選べばいいかわからない場合や、次にどうように行動すればいいか迷った場合は、「赤ちゃんの頭のかたち相談室」へご相談ください。

病院の探し方や、そもそも治療を受けるべきか?など、日頃感じているお悩みでもかまいません。

これまで多くの悩みや治療のサポートをしてきたスタッフが、身近な相談者としてお話を伺いますので、お気軽にご相談ください。

まとめ|赤ちゃんが快適に過ごせるよう、こまめなお肌ケアを欠かさずに!


今回はヘルメット治療による赤ちゃんの肌荒れの原因、日常生活でできる肌荒れ対策について解説してきました。

ヘルメットは、赤ちゃんのデリケートな肌に触れるものであるため、長時間の着用であっても赤ちゃんの負担になりにくい素材でつくられています。しかし、それでも肌トラブルが完全に防げるわけではありません。

そのため、ヘルメット治療を行う際は
  • 汗をこまめに拭く
  • 入浴は毎日させる
  • ヘルメットの内側を定期的に掃除する
  • 爪を切る

といった対策を取るようにしましょう。

また、これからヘルメット治療を検討されている方は、ヘルメット治療の流れをしっかりと把握し、費用面や今後の動き方について早めに知っておきましょう。

少しでも不安に思われている方は、そもそも治療を受けるべきなのかも含めて医療機関へご相談ください。

「頭のかたち相談室」ではスタッフが適切な次のステップをご案内しております。