赤ちゃんの頭のかたち相談室
Consult & Columnヘルメット治療の費用は?安くない理由、初診や通院方法も解説
頭のかたちのゆがみに対して行われるヘルメット治療の費用は、医療機関や使用するヘルメットのメーカーによって変わってきますが、おおよそ40〜60万円(税込)の費用がかかります。
この金額を聞いて「なんでこんなに高額なの?」「治療中に追加で費用は発生しないの?」と疑問に思った方もいらっしゃるかもしれません。
じつはヘルメット治療が高額になる理由として、治療に使用するヘルメットがオーダーメイドであったり、ヘルメット治療自体が保険適応外であったりすることが挙げられます。他にも、治療中はヘルメットのケアや通院で発生する費用もあります。
そこで今回は、ヘルメット治療にかかる費用について詳しく解説していきます。
ヘルメット治療にかかる費用についてもしっかり理解した上で、ヘルメット治療を行うかどうかを検討してみてはいかがでしょうか。
頭のゆがみが気になったら、
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中張 惇子 先生
2013年、帝京大学医学部卒業、自治医科大学附属さいたま医療センターで初期臨床研修を終了後、2015年、同センター小児科に入局。同センター、自治医科大学とちぎ子ども医療センターで小児科専攻医として研修。2019年〜周産期科新生児部門 病院助教。2019年〜2020年、聖霊浜松病院 新生児科で専門研修を経て2021年周産期新生児専門医取得。2021年10月から自治医科大学附属さいたま医療センター 乳児頭のかたち外来開設から頭蓋変形の診療に携わり、現在に至る。
ヘルメット治療にかかる費用は?
ヘルメット治療は、ヘルメット作成代や医療機関での診察・検査代がかかり、おおよそ40〜60万円(税込)の費用が必要です。
まずは、それぞれの費用の詳細を説明します。
ヘルメット作成、調整の費用
日本のヘルメット治療で使用されているヘルメットをいくつかご紹介します。ヘルメット作成にかかる費用の目安はそれぞれ以下の通りです。
※診察・検査にかかる費用を含みます
アイメット | 約45〜60万円(税込) |
---|---|
クルム | 約45~60万円(税込) |
スターバンド | 約40万円(税込) |
ミシガン頭蓋形状矯正ヘルメット | 約40〜60万円(税込) |
その他、治療中にかかる費用
ヘルメット作成費用の他にも、治療中に追加で発生する費用もあります。
例えば交通費。ヘルメット治療中は、初診のほかに2〜6週間に1回程度、ヘルメットの調整や経過をみる必要があります。その通院の際に、都度交通費が発生します。
また、使用しているヘルメットをご自宅で手入れする備品の購入費用も必要となる場合があります。アルコールタオル(約1,000円)やスプレー(約1,500円)、ガーゼ(数百円〜)などの購入費用も支出として考えておきましょう。
ヘルメット治療にかかる費用の背景
ヘルメット治療にはおおよそ40〜60万円(税込)の費用が必要と聞いて、「なぜこんなに費用がかかるの?」と思った方もいらっしゃるかもしれませんね。
ヘルメット治療にかかる費用の背景についてもご紹介します。
ヘルメットがオーダーメイドである
ヘルメット治療で使用するヘルメットは、赤ちゃんの頭のかたちをスキャンし、一人ひとりの頭のかたちに合わせて作成します。
量産型ではなく、オーダー(カスタム)メイドであるため、費用がどうしても上がる傾向にあります。
治療中もヘルメットを調整する必要がある
また、ヘルメット作成後は、赤ちゃんの頭の成長にあわせて2〜6週間に1回程度ヘルメットを調整し、頭のゆがみを矯正していきます。このヘルメットの調整費用も含まれていると考えておきましょう。(病院によっては再診毎に数千円かかるケースもあります)
なお、ヘルメットの調整はヘルメット治療卒業まで、赤ちゃんの頭蓋変形を専門とする医師が担当する場合と、義肢装具士が担当する場合とがあります。
保険が適用されない
ヘルメット治療は、日本ではまだ保険が適用されない治療です。
保険が適用されないということは、治療費がすべて自己負担(10割負担)となります。これがヘルメット治療にかかる費用が比較的高額になる背景の一番大きなポイントであるといえるでしょう。
なお、ヘルメット治療は、医療費控除の対象になることがあるので、気になる方は確定申告の際に税務署に相談してみることをおすすめします。
ヘルメット治療を検討した方がよい場合
頭のかたちのゆがみに対しておこなわれるヘルメット治療ですが、どのような場合に治療の検討を進めるべきなのでしょうか?
重症度が高い場合
そもそもヘルメット治療は、頭のかたちにゆがみがあるからといって、どんな赤ちゃんでも受けられるものではありません。
赤ちゃんの頭のゆがみの原因は大きくわけて、「病気によるもの」と、寝癖や向き癖などの「外部からの圧力によるもの」があり、医療機関で検査を受けることで、ゆがみの原因やその重症度がわかります。
ヘルメット治療が適応となるのは、主に「外部からの圧力」が原因のゆがみで、ゆがみの程度が中等度以上の場合に限ります。
症状の自己判断は難しい
ゆがみが軽度であった場合や、生後3か月未満の早期で受診した場合などでは、赤ちゃんを長時間同じ方向で寝かせないようにしたり、授乳時や抱っこの際にタオルや枕を上手に使って赤ちゃんの姿勢をサポートしてあげたりする「体位変換」の指導のみで改善することもあります。
しかし、頭のかたちのゆがみの原因をご家庭で自己判断することは難しいため、医療機関で検査を受けることをおすすめします。
ヘルメット治療は、赤ちゃんの頭がやわらかい生後2〜6か月頃が治療開始の適齢期です。この適齢期を逃さないためにも、ヘルメット治療が気になっている方は、早めに医療機関へ相談しましょう。
【Q&A】ヘルメット治療によくある質問
最後に、ヘルメット治療に関してのよくある質問を紹介しますので、同じお悩みや不安をお持ちの方は、ぜひご確認ください。
ヘルメット治療の適齢期は、いつですか?
一般的には、赤ちゃんの頭がやわらかい生後2か月〜6か月が適齢期とされています。
ただし、頭の骨のやわらかさや成長度合いは個人差があり、生後12か月で治療を開始した方もいれば、反対に生後6か月では遅いと診断を受けられる方もいます。
一般的には、治療開始が早ければ早いほど良いとされていますので、まずは医療機関を受診し、判断してもらいましょう。
紹介状がなくても受診できますか?
医療機関によって異なりますが、専門クリニック等では紹介状がなくても受診できます。大病院の場合は紹介状を必要とする病院が多いです。
紹介状がない場合は、選定療養費が別途かかることがありますので、紹介状をお持ちの場合は必ず持参しましょう。(紹介状がないと受診できない医療機関もあります)
診察を受けたら絶対にヘルメットを作らなければならないのですか?
いいえ。ご相談だけでもまったく問題ありません。
そのほか、頭のゆがみの程度によってはヘルメット治療が必要でない場合や、月齢が進むなどして適応がない場合もございます。
その場合、ヘルメット治療を勧められることはありません。また、頭蓋縫合早期癒合症などの病気がある場合には病気の治療が優先されます。
診察の結果、治療した方が良いとアドバイスがあっても、あくまでもご家庭のご判断を優先させていただき、医師からヘルメット治療を強要されることはありませんのでご安心ください。多くのご家族が、最初はカウンセリングとして受診されています。
首がすわっていない乳児でも治療を受けられますか?
ヘルメットのメーカーによって、推奨される装着開始時期は異なりますが、首がすわっていない乳児でも治療可能なものもあります。
また、ヘルメット治療の適齢期は生後2〜6か月ですが、病院への予約から、受診後に治療について検討する期間、その後ヘルメットの作成から到着までの期間などを考えると、実際に治療を始められるのは1~2か月先になる可能性もあります。
首がすわっていない状態でも、もし頭のかたちが気になるようでしたら、なるべく早めに医療機関でご相談頂いた方が良いでしょう。
1日どれくらいヘルメットを装着するのでしょうか?
装着時間の目標は、お風呂のとき以外の1日23時間です。
ヘルメット装着初日から長時間かぶせるのではなく、2週間ぐらいかけて徐々に慣らしていきます。初日は4時間、2日目は5時間、1週間後には12時間など、細かく時間設定をしていくと良いかもしれません。
頭を地面につける時間が長く、矯正効果を発揮しやすいのは就寝時間です。就寝時には必ず装着するようにして、できるだけ長くかぶれるようにしましょう。
ヘルメット治療をすると、どれくらいの効果が期待できますか?
治療効果には個人差があるため、一律に効果を予測することはできません。治療に影響する要因として、「装着時間」と「頭囲の成長」があるのでご紹介します。
装着時間が長いほど矯正効果が得られます。湿疹など皮膚の状態が悪くなると、ヘルメット装着をお休みする期間が必要になることがあります。頭皮の湿疹や炎症が出てきた場合は、早めにかかりつけ医や皮膚科の先生に診てもらい、悪化する前に対応しましょう。
ヘルメット治療は、頭の凹んでいる部分・平らな部分に外圧がかからないようにヘルメットと頭に空間があります。頭が成長し、その空間が小さくなるとゆがみが改善していきます。適切に体重が増えると頭囲も大きくなりますので、治療中は赤ちゃんのミルクや離乳食にも気を配りましょう。
まとめ|ママパパだけで迷わずお気軽にご相談ください
今回はヘルメット治療にかかる費用と、ヘルメット治療を検討した方がよい場合についてご紹介しました。
ヘルメット治療にかかる費用はヘルメットメーカーや医療機関によっても異なってきます。ヘルメット治療の費用を知って、「思っていたより高額だった…」と戸惑いを感じた方もいらっしゃるかもしれません。受けるべきかどうか迷うこともあるでしょう。
しかし、ヘルメット治療には、赤ちゃんの頭がやわらかい生後2〜6か月頃という治療開始の適齢期があります。
この適齢期を逃さないためにも、迷ったり悩んだりした場合は、スタッフへお気軽にご相談ください。これまでに同じ悩みを持つ多くのママパパのサポートをおこなった経験豊富なスタッフがご対応します。
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