子育て・育児

コリックとは?いつ始まっていつ終わる?原因から対処法まで徹底解説

 

更新日:2025年09月10日

コリックとは赤ちゃんが理由もなく激しく泣くことを指し、黄昏泣きと呼ばれることもあります。生後3週間ごろから始まり、生後45カ月ごろまで続くとされています。

起きている間の多くの時間を泣いて過ごす赤ちゃんに、疲れてしまう方も少なくありません。そこで今回は、


  • コリックの定義や頻度
  • コリックを引き起こす原因
  • 対策方法や相談先、専門医の診察を受ける目安

といった、コリックに関して疑問を抱かれがちな内容について詳しく解説します。

コリックとは何か?

コリックとは、理由もなく赤ちゃんが泣くことを指します。まずは、コリックとはどんな状態を指すのかを詳しく見ていきましょう。


コリックの定義

コリックとは、赤ちゃんが理由もなく激しく泣き続けることをいいます。

赤ちゃん     が泣く理由は様々ありますが、代表的なものは空腹や眠気、オムツが濡れている、暑い、寒いなどです。授乳やオムツ交換、室温の調整をして赤ちゃんが泣く原因を取り除くと、多くの場合で泣き止むでしょう。しかし、なかには快適な環境を作ったとしても、赤ちゃんが泣き止まないことも。このように、理由もないのに赤ちゃんが泣いている場合は、コリックの可能性があると考えられるでしょう。

また、泣き方の激しさが普段と異なる点も特徴です。あやしても泣き止まないほどの激しい泣き方が見られる場合は、コリックかもしれません。


赤ちゃんのコリックの頻度

コリックかどうかは、赤ちゃんが泣く頻度からも判断できます。以下の条件を満たしている場合は、コリックであるといえます。


  •  13時間以上泣く
  • 3回以上発生する
  • 3週間以上続く

1歳未満の赤ちゃんは、一般的に1日あたり12時間程度泣くといわれています。コリックの場合は13時間以上泣くのが目安なので、疑わしい場合には時間を計測してみましょう。

出典:忍野村(福祉保健課) 出典:コニカミノルタ


生後何カ月で発生するのか

コリックの症状はずっと続くわけではなく、ある程度限定的なのが特徴です。コリックが発生する目安は生後3週間で、ピークは生後2カ月ごろだといわれています。その後は徐々に改善し、個人差はありますが生後45カ月ごろに収まり始めるでしょう。

出典:忍野村(福祉保健課)


黄昏泣きとの違い

コリックは、「黄昏泣き(たそがれなき)」とも呼ばれます。コリックも黄昏泣きも、赤ちゃんが理由もなく激しく泣くことを指しており、同じ意味を持ちます。黄昏と表記されますが必ずしも夕方にとは限らず、午前中や夜に激しく泣くことも少なくありません。また、疝痛(せんつう)と呼ばれることもあります。

コリックの症状と特徴

次に、コリックの症状について見ていきましょう。


コリックの泣き方の特徴

理由もなく激しくなくコリックには、共通する特徴があります。コリック特有の泣き方は、以下の通りです。


  • あやしても落ち着かない
  • 手を握りしめて激しく泣いている
  • 背中を反らせて泣く
  • 足をじたばたと動かしながら泣く
  • お腹に溜まったガスで苦しそうにしている

コリックの症状に共通する特徴は、お腹にガスが溜まっていること。赤ちゃんは授乳やミルクを飲む際に、液体と空気を一緒に飲み込んでしまいます。すると、お腹にガスが溜まり苦しくなってしまうのです。

ただし、上記の特徴に該当するからといって必ずしもコリックだとは限りません。「コリックだと思っていたら、別の病気が原因で激しく泣いていた」という可能性が考えられるからです。そのため、まずは他の病気である可能性を排除し、その後コリックだと判断する必要があるでしょう。

出典:忍野村(福祉保健課)


赤ちゃんが夕方によく泣く理由

赤ちゃんは、夕方になると頻繁に泣いてしまいます。昼夜の区別が付かない赤ちゃんは、昼間から夜に変わるタイミングで徐々に暗くなっていく様子に不安を覚えます。また、1日の疲れがたまる時間帯でもあるため、夕方になるとぐずってしまうのです。

赤ちゃんをスムーズに寝かせたいときには「疲れさせたほうが良い」と考えがちですが、実は疲労がたまりすぎると逆に寝られないというパターンもあります。赤ちゃんが疲労をためすぎないためには、活動限界時間を超えるまえに寝かしつけるのが重要です。月齢別の活動限界時間は、以下の通りです。


月齢

活動限界時間

01カ月

40

12カ月

40分~1時間

23カ月

1時間~1時間20

45カ月

1時間20分~1時間30

68カ月

2時間~2時間30

個人差がありますが、活動限界時間を目安に日中の過ごし方を工夫して、スムーズに寝かしつけられると、夕方にぐずる対策ができるでしょう。

コリックの原因

コリックが発生する明確な原因は解明されていません。複数の原因が重なり、コリックにつながるともいわれています。ここからは、身体的な原因と精神的な原因に分けて解説していきます。


身体的な原因

コリックが起きる身体的な要因には、以下のものが挙げられます。


・ガスがたまっている

赤ちゃんは、授乳の際に飲み込んだ空気をげっぷで出せず、ガスがお腹にたまった状態に。お腹がガスによって苦しい状態になり、泣いてしまうのです。また、赤ちゃんは消化器官がまだまだ未熟です。そのため、胃酸が逆流して不快感がある可能性が考えられるでしょう。


・空腹

赤ちゃんは、空腹を感じることで泣きます。赤ちゃんが泣いた場合は、まずお腹がすいていないかどうかをチェックすると良いでしょう。予定していた授乳時間よりも早いタイミングで赤ちゃんが泣いたとしても、一度授乳をしてみるのがおすすめです。エネルギー消費が激しい赤ちゃんは、予定よりも早くお腹がすいていることがあります。


・アレルギー

母乳やミルクに含まれる成分にアレルギー反応を示し、赤ちゃんが泣いている可能性があります。授乳をするたびに赤ちゃんが泣くようであれば、アレルギーかもしれないので病院を受診しましょう。


・たばこの煙

たばこの煙は、赤ちゃんの健康にさまざまな悪影響を及ぼします。激しく泣く以外にも健康リスクが高いため、子どもの近くで喫煙しないようにしましょう。


精神的な原因

次に、コリックを引き起こす精神的な原因について解説します。


・不安やさみしさ

スキンシップが足りず赤ちゃんが不安を感じることも、コリックの原因になりかねません。とくに、夕方は家事で忙しくなる時間帯なので、ママ・パパに構ってもらえず泣いてしまうこともあるでしょう。また、原因はわからないものの不安を感じてしまい、泣くことも考えられます。


・ストレス

赤ちゃんは、日中に多くの刺激を感じています。大人にとっては気にしない程度の小さな刺激であっても、赤ちゃんにとってはストレスになると考えられます。ストレスが積み重なって疲労となり、泣いてしまうのです。赤ちゃんは泣くことでストレスを発散しているため、無理にあやさずに落ち着くまでなだめるのも有効といえるでしょう。

コリックの対処法

ここからは、コリックの対処法をご紹介します。ただし、赤ちゃんがコリックを引き起こすにはさまざまな要因が関係しているため、必ずしも泣き止むとは限りません。子どもの個性に合う方法を見つけてみてください。


コリック抱きの効果

赤ちゃんを抱っこする方法には横抱きや縦抱きがありますが、コリックに有効な抱っこの方法は「コリック抱き」だといわれています。横抱き、縦抱きとコリック抱きを比較してみましょう。


・横抱き

横抱きとは、ママ・パパの両腕を使いゆりかごのように包み込むように抱っこする方法です。首が座っていない新生児も安定して抱っこできる特徴があります。


・縦抱き

縦抱きは、ママ・パパの身体の正面に赤ちゃんを縦向きに抱っこする方法です。赤ちゃんがコアラのようにしがみつく様子から、コアラ抱きとも呼ばれます。


・コリック抱き

赤ちゃんをうつ伏せで抱っこし、ママ・パパの前腕で支える方法です。お腹のガスを排出しやすくなり、コリック対策になるとされています。うつ伏せになった赤ちゃんから目を離さないよう、意識しながら取り入れるのがおすすめです。


授乳と飲ませ方の見直し

コリックに悩む場合は、授乳方法を見直すのも重要です。お伝えしているように、コリックに大きな影響を与えているのが、お腹のガスです。授乳の際には空気を飲み込まないように注意する必要があるでしょう。

授乳をする際の姿勢は横抱きではなく、より空気を飲み込みにくい縦抱きにするのが有効な予防方法です。また、授乳時間は1回あたり10分程度にするのも対策になるでしょう。

出典:忍野村(福祉保健課)


他の方法を試しても改善しない場合は医師に相談する

他にも、コリックに有効だとされる方法があります。


・静かな環境を作る

夕方になるにつれて静かな環境を作り、赤ちゃんが感じる刺激を減らしましょう。刺激が多すぎると赤ちゃんのストレスになるため、夕方にはテレビを消すなどの対策も有効です。


・赤ちゃんの気を紛らわせる

夕方など、赤ちゃんがいつも決まった時間に泣くとわかっている場合は、散歩に行ったり室内を歩いたりして、気を紛らわせます。五感を刺激すると、赤ちゃんの注意を引けるので泣きにくくなるでしょう。


・お風呂に入る

大人と同じように、赤ちゃんもお風呂に入るとリラックスします。沐浴の時間を調整して、夕方は穏やかな気分を促すのも手段のひとつです。


・スキンシップをとる

ママ・パパとのスキンシップを増やすのも、コリック対策になります。抱っこで赤ちゃんに安心感を与えて、落ち着かせましょう。

上記の対策法を試してもコリックが改善しない場合には、専門医のもとへ足を運び診察を受けてみてください。


コリックに悩んだらどの病院を受診する?

コリックを理由に病院を受診する場合は、まず小児科に相談しましょう。また、下記に該当する場合は他の病気にかかっている可能性があるので、かかりつけ医を受診するのがおすすめです。


  • 嘔吐
  • 顔色が悪い
  • 便に異変がある
  • 発熱している
  • 母乳やミルクを飲む量が少なすぎる

激しく泣く様子を指す啼泣(ていきゅう)は、コリック以外にさまざまな病気のサインかもしれません。病気かコリックかを親が判断するのは難しいため、医師の診断を仰ぎましょう。

コリックを持つ赤ちゃんに安心を提供する方法

コリックで泣き続ける赤ちゃんをあやして、安心させるのは非常に重要です。なぜなら、泣いている赤ちゃんを放置すると、サイレントベビーになる可能性があるからです。

サイレントベビーとは、笑ったり泣いたりしない無表情の赤ちゃんのこと。赤ちゃんが泣いても長時間放置することが、サイレントベビーの原因になるとされています。赤ちゃんは「泣いてもママ・パパに構ってもらえない」と感じ、次第に泣くのをやめてしまうのです。サイレントベビーが成長すると、表情が乏しくコミュニケーションが取れない人になるリスクがあります。そのため、赤ちゃんが泣いている場合には、ママ・パパが原因を探り、抱っこしてあやしてあげましょう。

しかし、赤ちゃんが泣くたびに24時間いつでも対応するのは、ママ・パパにとって大きな負担に。家事をしていて手が離せないなど、放置せざるを得ないことも少なくありません。コリックの赤ちゃんと向き合うためにも、ベビーシッターや育児グッズを活用してみてください。また、赤ちゃんが泣いてもすぐに対応しない育児法もあるため、家庭での方針を決めておくのもポイントです。


ベビーシッターの活用法

コリックに悩む場合は、育児のプロであるベビーシッターに依頼するのも手段のひとつです。ベビーシッターを活用する代表的なシーンとして、以下が挙げられます。


  • 親のリフレッシュ
  • 育児に不安を感じたとき
  • 赤ちゃんのお世話
  • 上の子のお世話
  • 冠婚葬祭などの見守り
  • ママ・パパの体調不良時
  • 仕事をする間

ベビーシッターの登録を済ませておき、いざというときに頼れるようにしておくのが重要です。

なお、住んでいる地域によってはベビーシッターの利用にかかる費用の一部に補助が出る場合があります。例えば、東京都の場合は千代田区や中央区、港区、新宿区などに加えて武蔵野市、三鷹市といった市町村にも制度があります。利用時間や提携業者などを自治体のホームページなどで確認してみてください。


育児グッズを活用してママとパパのストレスを減らす

コリックを乗り越えるために便利な育児グッズを紹介します。


・抱っこひもやおんぶひも

泣いている赤ちゃんをあやす際は、抱っこひもを着用するのがおすすめです。また、散歩に行き外の景色を見せると、赤ちゃんの気分転換になるでしょう。


・バウンサー

心地良く揺れるバウンサーは、赤ちゃんを落ち着かせてくれるでしょう。ママ・パパの手が空くので、赤ちゃんをバウンサーに置いている間は家事を進められる点もメリットです。


・おくるみ

ママのお腹の中を再現できるおくるみは、泣いている赤ちゃんに有効とされています。おくるみ     やタオルなどで赤ちゃんを優しく包み、落ち着かせてみましょう。

コリックに対する不安の解消法

ここで、ママ・パパがコリックに悩む場合の解消法を見てみましょう。


家族や友人との面談の重要性

ママ・パパが育児にストレスを抱えている際は、身近な人に相談するのが重要です。どれだけ穏やかな人でも、赤ちゃんが泣き続けるとイライラしてしまいます。赤ちゃんに対してイライラしたり、育児に不安を感じたりした場合には、家族や友人に頼りましょう。


他の親との情報共有

コリックに悩んでいる場合は、ママ友に相談するのもおすすめです。他のママや育児サークルから、解決に向かう情報を得られる可能性があります。また、自治体の保健所や保健センター、子育て支援センターの相談窓口を利用することで解決に向かう可能性もあるでしょう。


医師からのヒントとアドバイス

赤ちゃんが泣き止まない状況は、ママ・パパにとってつらいもの。あやしているうちに、赤ちゃんを激しく揺らしてしまったというころも少なくありません。しかし、小さな赤ちゃんを勢いよく揺らすと「乳幼児揺さぶられ症候群」になる危険性があります。コリックでなかなか赤ちゃんが泣き止まない状況でも、激しく揺さぶるのはやめましょう。

出典:日本小児科学会

コリック克服後の赤ちゃんの成長

コリックは、生後45カ月ごろには改善に向かうといわれています。その後の赤ちゃんは、どのように成長するのでしょうか。最後に、コリックを克服した赤ちゃんについてお伝えします。


成長のスピードと対策

コリックを克服した生後6カ月以降の赤ちゃんは、次第に自分の意志で動き始めるでしょう。寝返りやお座りをし始め、ずりばいで部屋の中を移動する可能性があります。なんでも口に入れてしまう時期でもあるため、部屋は衛生的に保ち危険がないようにしておきましょう。


身体的発展と精神的安定

生後6カ月を過ぎると、機嫌が良いときは一人で遊べることも。また、同じ遊びを何度も繰り返しがちなのも、この時期の特徴です。人見知りや後追いが始まる場合もあります


未来への恐れと期待

コリックは生後45カ月で改善しますが、生後6カ月ごろからは夜泣きが始まる可能性があるでしょう。夜泣きもコリック同様に明確な原因が判明していませんが、おおむね1歳ごろにはなくなるといわれています。

まとめ|コリックは赤ちゃんが成長する過程のひとつ

コリックは、生後間もない赤ちゃんが理由もなく激しく泣くことを指します。コリックの原因ははっきりと解明されていませんが、お腹にガスが溜まるこ     とで泣き止まないことも。抱っこや授乳の方法を見直して対策してみてください。

コリックは、赤ちゃんの成長とともにいずれ改善されます。育児が辛い場合には周囲の人に相談したり小児科を受診したりして、不安やストレスを解消しましょう。