赤ちゃんの頭のかたち相談室
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タミータイムの効果とは?育児に取り入れたい理由を徹底解説|やり方のポイントも
更新日:2025年10月09日
ミータイムには、赤ちゃんの運動機能の土台づくりや認知能力の向上など、心身の成長を促すさまざまな効果が期待されています。「タミータイムを育児に取り入れたいけれど、具体的にどんな効果があるの?」と疑問をお持ちの方も多いでしょう。今回は、体・脳・心の発達に対するタミータイムの効果を解説。やり方のコツもまとめたので、タミータイムへの理解を深めて、赤ちゃんの成長をサポートしたい方は、ぜひご一読ください。
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タミータイムの基本情報をおさらい

まずは、タミータイムの意味や目的といった基本情報を確認しておきましょう。
そもそもタミータイムとは?
タミータイム(tummy time)とは、大人が見守るなかで、赤ちゃんをうつ伏せの体勢で過ごさせることを指します。タミーとは英語で「お腹」を意味し、主に赤ちゃんや子どもとの会話で使われる言葉です。日本語で赤ちゃんのお腹を「ぽんぽん」と呼ぶイメージに近いでしょう。タミータイムは、日本語では「うつ伏せ遊び」や「腹ばい練習」と呼ばれることもあります。
タミータイムには赤ちゃんの成長・発達を促すさまざまな効果があるといわれています。その1つが、赤ちゃんの頭の変形を予防する効果です。一般的に仰向けで過ごすことが多い赤ちゃん。就寝時はもちろん、車やベビーカーに乗せる際も仰向けの姿勢を取ります。タミータイムでは、うつ伏せになる時間をつくることで、赤ちゃんの頭にかかる圧力を軽減できるのです。
SIDSとの関係
乳幼児突然死症候群(SIDS:Sudden Infant Death Syndrome)とは睡眠中に赤ちゃんが基礎疾患や予兆なく突然亡くなる病気です。原因不明であるため、いまだ予防方法は確立されていませんが、こども家庭庁ではSIDSの発症リスクを下げる可能性がある3つのポイントを示しています。
- 1歳になるまで、睡眠時にはあおむけに寝かせましょう
- できるだけ母乳で育てましょう
- たばこをやめましょう
また、アメリカ小児科学会(AAP)では、SIDS予防策の1つとしてタミータイムを推奨しています。他にも「普段からうつぶせに慣れていない赤ちゃんが、寝ている間にうつぶせになってしまうことが、SIDSのリスクを高める可能性がある」という報告も。
タミータイムは、うつぶせに慣れたり、心身機能の発達を促したりする効果が期待できるため、結果としてSIDSのリスクを下げられる可能性があります。タミータイムは赤ちゃんの命を守ることにもつながるのです。
出典:こども家庭庁
出典:厚生労働科学研究成果データベース
出典:アメリカ小児科学会
タミータイムの効果|身体編
次にタミータイムにより期待できる効果を、身体的な面から見ていきましょう。
身体的効果1|首すわりを促す
タミータイムは赤ちゃんの身体機能の向上に効果的といわれています。赤ちゃんは、うつ伏せの姿勢から多くの身体機能を発達させます。その1つに頭を持ち上げる首や背中の筋力の強化が挙げられます。
なかでも注目すべきは、頸部・背部・腰部にあり、姿勢を保つために重要な筋肉「脊柱起立筋(せきちゅうきりつきん)」です。脊柱起立筋は、うつ伏せから頭や上半身を起こす際に使われます。タミータイムにより上半身の筋肉の発達が促されることで、体を動かす次のステップにスムーズに進めるようになるでしょう。
身体的効果2|体を動かすための土台をつくる
タミータイムは、体をスムーズに動かすための土台づくりに役立ちます。うつ伏せの姿勢を保つことは、肩甲骨や腕の発達にもつながるため、手で地面を押す力が身につくのです。
加えて、体幹の安定にも影響を与えることから、身体能力だけでなくバランス感覚を伸ばす効果が期待できます。
2020年に発表された、タミータイムと乳児の健康との関連性についての研究では、うつ伏せの体勢と発達度合に相関があるかが調査されました。研究結果では、うつ伏せで過ごす時間が長いほど、寝返りやハイハイがスムーズにできる傾向があると示唆されています。
身体的効果3|頭のゆがみを予防する
タミータイムは赤ちゃんの頭のゆがみを予防する対策としても有効です。赤ちゃんの頭蓋骨は、脳が大きく成長できるよう生後8か月ごろまでやわらかいのが特徴。そのため、病気や外的な要因により変形しやすくなっています。
仰向けの姿勢を長く続けることで生じる頭のゆがみの1つが「短頭(たんとう)症」です。短頭症とはいわゆる「絶壁」と呼ばれる、後頭部が平らな状態を指します。うつ伏せの姿勢は、頭にかかる圧力を軽減できため、タミータイムは短頭症予防や改善につながるといわれています。
身体的効果4|お腹の調子を整える
生後2~3か月ごろになると便が出にくくなる赤ちゃんも少なくありません。便秘やガスだまりの解消を助ける点も、タミータイムの注目ポイントです。
赤ちゃんが便秘になる原因には、水分不足のほかに、便を出すための力が弱い可能性があります。タミータイムでのうつ伏せの姿勢は、腸の蠕動(ぜんどう)運動を良くしたり、腹圧を高めたりと、お腹の調子を整えるのに役立つでしょう。さらに、うつ伏せの体勢を維持しようとする過程で腹筋が発達し、排便する力が身につきます。
出典:厚生労働科学研究成果データベース
タミータイムの効果|知能・五感編
タミータイムは、知能や五感といった脳の発達を促す効果も期待されています。詳しく見ていきましょう。
認知的効果1:視野が広がる
タミータイムには、赤ちゃんの視覚を刺激する効果があります。普段は仰向けで過ごす時間が長い赤ちゃん。仰向けの状態では、視界に入るものがある程度限られています。しかし、うつ伏せの状態になると、視界が変わり、赤ちゃんは自分の意思で周囲にあるさまざまなものを見ようとするのです。
例えば、それまで一点を見つめる生活が中心だった赤ちゃんは、目の発達に伴い動くものを目で追う「追視」が可能になります。黄色や赤色など鮮やかな色に反応を示すようにもなるでしょう。
視界が変わることは、赤ちゃんの好奇心も刺激します。好奇心は、次の成長への原動力となる重要なカギです。視界の変化は空間感覚を養うことにもつながるでしょう。
認知的効果2:触覚を発達させる
赤ちゃんの触覚は、新生児のころから大人と同様の機能が備わっているといわれています。また、触覚刺激は赤ちゃんの脳の発達において非常に重要です。赤ちゃんが何かに触れたとき、脳の活動が活発になることも明らかになっています。
タミータイムを介して手足やお腹などを使って床や寝具の感触を学ぶことは、触覚及び脳の発達に良い刺激になるでしょう。
認知的効果3:ボディイメージを育む
タミータイムは、赤ちゃんが自分の体をコントロールする感覚を養う際にも役立ちます。まず、うつ伏せの状態で呼吸をするために、頭部をコントロールできるようになります。頭部を動かせるようになることで、続いて体重移動が可能になっていくのです。さらに、胸や両腕の筋肉が発達し、上半身を持ち上げられるようになる過程で、頭部と体幹との位置関係を把握し、姿勢を適切に保てるようになるでしょう。
タミータイムは、赤ちゃんが体の使い方を身につけていくうえで重要な時間なのです。
出典:学校法人 弘徳学園 豊岡短期大学
出典:所沢市
タミータイムの効果|情緒編
タミータイムによる心理的効果も、赤ちゃんの成長に欠かせません。
心理的効果1|愛着形成を促す
タミータイムは、アイコンタクトや声かけといった遊びを介した親子のコミュニケーションの機会になります。両親をはじめとする特定の保護者や保育者と子どもの間に生じる絆は「アタッチメント(attachment)」、日本語で「愛着」と呼ばれ、発達のカギになるといわれています。乳幼児期の愛着形成は、子どもが成長し、自我や意欲、社会性を備えていくうえでも重要です。
愛着形成には、赤ちゃんに対してママやパパが声をかけたり触れたりするコミュニケーションが欠かせません。大人が見守りサポートしながら行うタミータイムによって、愛着形成が促されるでしょう。
心理的効果2|赤ちゃんの自信を育む
先述のとおり、タミータイムには、身体的機能の向上や感覚の発達を促す効果が期待されています。タミータイムを取り入れることで、知的好奇心や探求心が刺激された赤ちゃんは、徐々に自分の意志のもと行動しようとするでしょう。身体および認知的な成長は、赤ちゃんの満足感や自信を育みます。タミータイムを介した親子のコミュニケーションにより、赤ちゃんの自尊心が育まれ、自己肯定感の向上にもつながるのです。
出典:日本地域看護学会
出典:神戸教育短期大学
出典:大阪市
【月齢別】タミータイムから見る発達の目安

ここで、タミータイムの効果として見られる赤ちゃんの成長過程を、月齢別に解説します。
生後1~2か月|頭を持ち上げようとする
生後1~2か月の赤ちゃんには、タミータイムの際、うつ伏せの状態で頭を上げようとする姿が見られます。しかし、まだ腕を使って体を支えることはできません。生後2か月を過ぎると、徐々に頭を持ち上げられるようになってきます。
生後3~4か月|首や腕の力で姿勢を保てる
生後3~4か月ほど経つと、赤ちゃんの首がすわり、肘で体を支えながら頭を持ち上げた状態を保てるようになります。また、生後4か月ごろは、両手・両肘が床についていない状態で、腕と足を伸ばして顔を上げる、いわゆる「飛行機のポーズ」が見られるケースも増えます。ただし、上体を起こしながら腕を使っておもちゃなどを口に運ぶ動きはまだ難しいでしょう。
生後5~6か月|上半身を高く持ち上げる
生後5~6か月の赤ちゃんは、タミータイムの際、手のひらで床を押し、腕を伸ばして上体を起こせるようになってきます。寝返りの兆候が見られる場合もあるでしょう。
生後4か月のときにはまだ難しかった、上体を起こした姿勢を維持しながら、腕を伸ばしておもちゃを掴むことも、生後6か月になると成功する場面が増えます。タミータイムを介して、赤ちゃんのより活発な動きが見られる時期です。
タミータイムの効果を引き出すポイント
最後に、タミータイムの効果を引き出すためのポイントを紹介します。
タミータイムの効果的な回数と時間
1か月健診が終わったタイミングをから、1日2~3回ほどタミータイムを取り入れましょう。初めは5~10分前後が目安です。難しかったり不安があったりといった場合には、10秒ほどの短い時間でも問題ありません。
慣れてきたら1日あたり合計20分間、うつ伏せで過ごすようにしていきましょう。赤ちゃんが目覚めたタイミングやオムツを替えた後などに行ってください。
赤ちゃんが嫌がる場合の対処法
タミータイムには赤ちゃんの成長に関するメリットが豊富ですが、嫌がる場合は無理に取り入れる必要はありません。
赤ちゃんの様子を見ながら、機嫌が良いときにチャレンジしてみましょう。ママやパパが仰向けの姿勢になり、お腹や胸の上でうつ伏せにした赤ちゃんを抱いてあげるのもおすすめ。大人が赤ちゃんと目線を合わせたり、笑顔で声をかけたりと、安心感を持てるよう工夫しながらサポートすることが大切です。
タミータイムを上手く取り入れられない場合は、頭のゆがみに注意が必要です。赤ちゃんの頭の形は、自然に整う場合もあれば、治療が必要なケースもあります。不安や悩みがあれば、医療機関に相談しましょう。赤ちゃんの頭のかたち相談室では、電話やネットから無料で相談ができます。向き癖やヘルメット治療に関する問い合わせも可能です。専門知識を持つスタッフが、誠意を持ってサポートします。一人で悩まず、ぜひ気軽に相談してみてください。
効果を高めるおもちゃの活用
タミータイムの効果を高めるうえで、赤ちゃんが楽しく取り組めることが重要です。大人の声かけや触れ合いを意識する他、おもちゃも活用しましょう。
色鮮やかなアイテムや音の出るおもちゃを赤ちゃんの目の前で動かして、五感を刺激するのがおすすめ。感触遊びができるぬいぐるみや、転がして遊べるボールなど、赤ちゃんが興味を示しやすいアイテムを使うのも一つの手です。うつ伏せになったときに赤ちゃんが自分で触れられるよう、手の近くに置いてみるのも良いでしょう。
安全に実施するための注意点
タミータイムを行うときは、安全対策として以下の3点が欠かせません。
・床が柔らかい場所では行わない
・赤ちゃんから目を離さない
・うつ伏せで寝かせない
赤ちゃんの口や鼻が塞がるのを防ぐため、布団やクッションなどの使用は避け、硬いマットや畳、床に敷いたタオルなどの上で行いましょう。また、タミータイム中は、終始大人が赤ちゃんのそばで必ず見守るようにしてください。少しでも目を離す必要があるときは、赤ちゃんを安全な場所に移動し、仰向けにしてあげましょう。
タミータイム中に赤ちゃんが寝そうになった場合は、仰向けにします。窒息やSIDSの危険性を避けるためにも、うつ伏せのまま寝かすことは控えてください。安全を確保できる環境とやり方でタミータイムを実施することが大切です。
出典:自治医科大学 とちぎ子ども医療センター
出典:産業医科大学 医学部 脳神経外科
出典:こども家庭庁
まとめ|タミータイムの効果と正しいやり方を理解して赤ちゃんの成長を促そう

タミータイムには、身体能力の発達や感覚機能の向上、愛着の形成を促進する効果があるといわれています。赤ちゃんの成長を促すうえで、取り入れたい大切な習慣です。タミータイムを行う際は、安全対策を十分にし、無理のない範囲でチャレンジしましょう。タミータイムを子育てに取り入れて、親子のコミュニケーションを大切にしながら、赤ちゃんの成長をサポートしませんか。
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