赤ちゃんの頭のかたち相談室
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タミータイムで頭の形のゆがみは予防できる?気になる効果や注意点を解説
更新日:2025年10月29日
タミータイムとは、赤ちゃんの頭の形のゆがみ予防や改善に効果が期待できるふれあい遊びのことです。
「タミータイムは頭の形にどう影響するの?」「本当にゆがみ予防になるの?」と疑問に思っているママやパパもいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回は、タミータイムの気になる効果から方法、注意点まで詳しく解説。「赤ちゃんの頭の形が気になる…」、「予防策はあるの?」とお悩みのママパパはぜひ参考にしていただければと思います。
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タミータイムが赤ちゃんの頭の形に与える3つの効果
薄いマットを敷いた床の上、もしくはママやパパのお腹の上で、赤ちゃんがうつ伏せで過ごすことを「タミータイム」といいます。日本語では「うつ伏せ遊び」と呼ばれる場合もあります。タミータイムにはさまざまな効果があるといわれますが、赤ちゃんの頭の形にはどのような影響を与えるのでしょうか。ここでは、重要な3つの効果を見ていきましょう。
1.後頭部の圧を減らし絶壁を予防できる
生まれたばかりの赤ちゃんの頭蓋骨はとてもやわらかく、脳の成長に合わせて、とくに生後8ヶ月頃まではゆがみやすい状態になっています。生後間もない赤ちゃんは、基本的に仰向けの姿勢で寝ていることが多く、常に後頭部へ圧力がかかり続けている状態です。そのため、圧力により頭の形が変形し、「短頭症(たんとうしょう)」と呼ばれる平らな頭の形を引き起こしやすいといわれています。「短頭症(たんとうしょう)」は、丸みのない形状から、「絶壁」とも呼ばれることがあります。タミータイムでうつ伏せ時間をつくることで、後頭部への圧を軽減できるため、絶壁の予防に効果が期待できるでしょう。
2.向き癖によるゆがみを予防できる
仰向け寝をしている赤ちゃんが、自分が好む方向(左もしくは右)に首を向き続けることを「向き癖」といいます。また、向き癖により後頭部の片側が斜めに歪んだり、左右非対称に頭蓋変形をするケースを医学用語では「斜頭症(しゃとうしょう)」と呼びます。タミータイムでうつ伏せの時間を設けることで、向き癖による一方向への圧力を減らせるため、斜頭症の予防・改善を目指せるでしょう。
3.自分で首(頭)を動かす力を育てる
うつ伏せの姿勢は、運動発達の基本になる姿勢といわれています。そのためタミータイムは赤ちゃんの首や背中の筋肉の発達を促し、運動能力向上のサポートになるでしょう。
1日の中で一定時間タミータイムを実施することで、首や背中の筋肉を鍛えられ、赤ちゃんが自分自身で首(頭)を動かす力が育てられると考えられています。手や腕を使って体を支えようとする動きは、寝返りやハイハイの練習にもつながるでしょう。
また、タミータイムを設けることは、SIDS(乳幼児突然死症候群)の対策になるといわれています。可能な範囲で、普段からうつ伏せに慣れておくことが大切です。
タミータイムを始める時期と頭のゆがみの段階別の考え方
タミータイムを実施するのは、どれくらいの時期が良いのでしょうか。ここでは、3つの段階に分けて、赤ちゃんのタミータイムを実施する時期をご紹介します。
「向き癖が気になる…」|予防段階
赤ちゃんの頭の形は、生後数ヶ月の環境や姿勢に影響を受けやすく、この時期に向き癖や仰向け寝が続くと、頭の形の左右差や偏り、平坦化などの変形が生じる場合があります。赤ちゃんが寝るときに「いつも同じ方向を向いている…(向き癖があるかも)」と感じたら、タミータイムを開始するタイミングかもしれません。ご家庭ですぐに取り入れられるタミータイムを実施し、頭の形を整えていきましょう。
「頭の形に違和感がある…」|軽度のゆがみが気になる段階
赤ちゃんの頭のゆがみが目立ちやすくなるのは、首がすわる前後の生後3~4ヶ月頃です。吸引分娩や向き癖などの影響による軽度のゆがみがある場合、タミータイムを続けると、徐々に頭の形の改善が期待できます。ゆがみが悪化しないように、タミータイムを実施し始めて様子を見ていくのが良いでしょう。
ヘルメット治療も選択肢の1つ|重度のゆがみの段階
頭の形がゆがむ原因には「頭蓋骨縫合早期癒合症(とうがいこつほうごうそうきゆごうしょう)」などの病的な要因と、外部要因が原因である「位置的頭蓋変形(いちてきとうがいへんけい)」の2種類があります。そのうち、ヘルメット治療で改善が見込めるのは、外的要因による頭の形のゆがみです。自然に治らない場合、病気の可能性があるので早めに専門のクリニックや小児科を受診し、適切な診断をしてもらいましょう。
外的要因による頭のゆがみが重度と診断されると、赤ちゃんの状態や家族の意思に合わせて治療方針が決まります。
1日のうち23時間はヘルメットを装着する「ヘルメット治療」も重要な選択肢の1つです。ヘルメット治療を行う場合は、首が座わる時期(生後2・3ヶ月頃)から、生後8ヶ月頃までに治療を開始するのが最適といわれています。なお、ヘルメット治療は自由診療となるため、費用はクリニックによって異なるのが特徴です。治療期間は一般的に数ヶ月程度になりますが、赤ちゃんの成長スピードによって変動します。
タミータイムを効果的に行うための4つのヒント
ここからは、タミータイムを実践する上でのヒントを4つご紹介します。タミータイムを始める時期や取り組む時間、タミータイム中に取り入れられる工夫をまとめました。
始める目安は「生後1ヶ月」
タミータイムを始めるのに適した時期には諸説ありますが、日本では一般的に「生後1ヶ月」経過したタイミングが開始の目安といわれています。生後1ヶ月の乳児健診が終了したら、さっそくタミータイムを始めてみましょう。赤ちゃんのすぐそばで親が見守りつつ、うつ伏せの練習を始めます。生後1ヶ月の赤ちゃんはまだ頭を支える筋力がないため、いつでも親がサポートできる環境で取り組んでください。
最初は5~10分から始めて慣れさせていく
タミータイムを初めて実施するときは、10~30秒程度の短い時間から様子を見て、1日合計5~10分程度取り組んでいきます。赤ちゃんの様子を見て、少しずつタミータイムを長くしていきましょう。うつ伏せに慣れてきたら、1日2~3回に分けながら、1日合計20分を目安に取り組むのがおすすめです。赤ちゃんがタミータイムに慣れてきたら、徐々にうつ伏せの時間をのばします。例えば、毎日同じ時間に5分ずつ行うなどルーティン化することで、赤ちゃんも親も無理なく続けられるでしょう。
おもちゃを活用して向き癖を改善させる
赤ちゃんが物を目で追えるようになったら、タミータイムにおもちゃを取り入れて一工夫してみましょう。「赤ちゃんがいつも同一方向を見ている」といった向き癖が気になる場合、向き癖がある方向とは反対側に気を引くようにおもちゃを動かしてみます。すると、赤ちゃんがおもちゃのある方向を向こうとして、首を動かすきっかけになるでしょう。とくに、赤ちゃんが興味を持ちやすい音の出る物や、赤・青・黄など色はっきりしたおもちゃを使うのがおすすめです。
ママやパパが一緒に取り組みタミータイムを楽しい時間に
タミータイムに慣れていない赤ちゃんは、最初はうつ伏せの体勢を嫌がるケースがあるかもしれません。強制的に取り組ませる必要はなく、基本的には赤ちゃんのペースに合わせて進めるように心がけましょう。
タミータイムに積極的でない場合は、ママやパパが一緒に楽しんであげると、赤ちゃんも安心して取り組めるかもしれません。赤ちゃんと同じように床にうつ伏せになり、顔を近づけながら笑顔を見せてみましょう。加えて、歌を歌ったり、やさしく話しかけたりするなど、コミュニケーションをとるのも効果的です。タミータイムは、うつ伏せに慣れさせるだけでなく、ママ・パパと赤ちゃんの絆を強める貴重な時間でもあります。パパやママのやさしい声や笑顔に触れることで、赤ちゃんは安心感を覚え、タミータイムを「楽しい遊び」として認識するようになるのです。ママやパパの様子を見るために、赤ちゃんが少しずつ顔を上げる時間が増えてくるでしょう。
出典:自治医科大学 とちぎ子ども医療センター
出典:北海道立子ども総合医療・療育センター
出典:鉾田市
タミータイムに取り組む際の注意点
ここからは、タミータイムを実施する上での注意点を3つお伝えします。
床が硬すぎ・やわらかすぎはNG
タミータイムを実施するときには、マットレスやタオルを敷いた畳の上など、硬く平らな場所で行うようにしましょう。硬すぎる床では顔を強く打ってしまい、やわらかな布団の上では赤ちゃんの鼻や口が塞がれて、窒息してしまう恐れがあります。タミータイムを実施するときには、赤ちゃんの身の回りに置いてある物には十分に注意が必要です。やわらかなクッションや枕などは、周辺に置かないように気をつけてください。
また、赤ちゃんのうつ伏せ寝はSIDSのリスクが高まるといわれています。うつ伏せ状態の赤ちゃんは、たとえ短時間であっても、目を離さないようにしましょう。
短期間で諦めない
タミータイムは継続することが重要です。赤ちゃんが寝返りやハイハイなど、自分で体勢を変えられるようになるまで続けてみましょう。慣れないうちは、赤ちゃんが泣いたり怒ったりしてしまうケースも珍しくありませんが、無理のない範囲で少しずつでも積み重ねることが大切です。赤ちゃんのお気に入りのおもちゃを活用したり、親子のふれあいとして実践したりするなど、「遊び」としてタミータイムを取り入れる工夫をしてみましょう。
機嫌が悪いときに実践してもうまくいかないケースが多いため、取り組むタイミングは、お昼寝後やお腹が満たされている時間帯がおすすめです。赤ちゃんの機嫌の良いタイミングを見計らい、ルーティン化していきましょう。
なお、タミータイムの継続期間に明確な決まりはありません。赤ちゃんの成長に合わせて、柔軟に対応していくのが良いでしょう。
日頃から体位変換を意識する
タミータイムに取り組むのも重要ですが、並行してこまめな体位変換を実践することも大切になります。例えば、授乳をするときの姿勢、赤ちゃんを抱っこするときの姿勢でも、赤ちゃんの頭の位置や角度を確認しましょう。また、赤ちゃんの睡眠中の姿勢も重要になります。赤ちゃんは寝ているとき、好んで向く「向き癖」があるはずです。ママやパパは大変ですが、できるだけ寝る姿勢をチェックして、いつも同一方向に圧力がかかってしまわないように、バランスを意識して向きを変えてあげましょう。
タミータイムと併用したい頭の形ケア
最後に、タミータイムと一緒に取り組みたい、頭の形ケアについてご紹介します。
体位変換・向き癖を改善させる
先ほどもふれた通り、後頭部の同じ場所に圧がかかってしまわないように、体位変換をこまめに行うのが非常に大切です。赤ちゃんに向き癖があるようなら、毎日の赤ちゃんの生活環境を一工夫してみるのも1つの手です。赤ちゃんは、自然と人がいたり音が聞こえたりする方向を向きます。例えば、ベビーベッドの配置の見直しはとても効果的でしょう。赤ちゃんの向き癖がある方向を「壁」側に、向き癖と反対に「家族の生活スペース」や「気を引くおもちゃ」「日光が入る窓」が位置するように置いてみてください。自然と興味があるほうに向きやすくなるため、次第に向き癖の改善が期待できるでしょう。
長時間の仰向けを避け「縦抱き」も意識する
赤ちゃんが起きているときは、できるだけ長時間同じ姿勢で寝かせず、こまめに声をかけたり、遊んであげたりして、赤ちゃんがいろいろな方向を向くように意識しましょう。長時間の仰向けを避けて、後頭部や同一方向に圧力がかからないよう工夫してみてください。
また、抱っこをするときには、なるべく「縦抱き」を増やしましょう。縦抱きにすると後頭部への圧迫を減らせて、頭のゆがみ予防につながります。長時間にわたり、バウンサーやチャイルドシートに寝かせたままにしないように心がけることが大切です。
ドーナツ枕・絶壁防止クッションは頭のゆがみに有効?
赤ちゃんの寝具コーナーで、ドーナツ枕や絶壁防止クッションを見たことがある方も少なくないでしょう。しかし、ドーナツ枕などが赤ちゃんの頭のゆがみに予防・改善効果があるのかどうかは、はっきりとした医学的な根拠はありません。「頭の形が整った」という方もいれば、そうでない例もあるのが実情です。赤ちゃんの頭のかたち相談室や健診、かかりつけの小児科などで相談してみるのも方法の一つです。
まとめ|タミータイムで頭の形のゆがみを予防!ヘルメット治療という選択肢も
赤ちゃんの頭の形が気になる方、軽度の頭のゆがみに悩んでいる方にとって、タミータイムは頭の形のゆがみ予防・改善に有効な方法です。生後1ヶ月を目安に取り組めるので、体位変換とあわせて、ぜひ早いうちから取り入れてみましょう。また、重度の頭のゆがみにお悩みの場合は、ヘルメット治療の選択肢もあります。なるべく早い月齢のうちに治療を開始したほうが、効果は高くなるといわれています。赤ちゃんの頭の形の悩みごとは、まず専門医療機関を受診、相談してみてください。
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