ヘルメット治療

ヘルメット治療に補助金はある?金銭的負担を減らす制度を徹底解説

 

更新日:2025年11月13日


赤ちゃんの頭のかたちが気になるけれど、金銭面での不安が拭えないという方も多いでしょう。そんな不安を軽くするのが、ヘルメット治療の補助金や控除などの金銭的サポートです。

この記事では、ヘルメット治療に利用できる可能性のある補助金や控除、保険制度について詳しく解説します。それぞれ対象となる費用や利用方法などをまとめたので、ぜひ参考にしてみてください。国や自治体の制度を活用して、ヘルメット治療の経済的負担を軽減しましょう。

ヘルメット治療の費用相場と保険制度

赤ちゃんの頭蓋形状矯正の治療用ヘルメットを作成するのにかかる費用は、おおよそ40~60万円と言われています。クリニックやヘルメットの種類によって差はありますが、決して安いとは言えない金額です。また、ヘルメット治療時の負担金額は、ヘルメットの作成費用だけではありません。ここでは、ヘルメット治療中にかかる費用の内訳や、負担を軽くする保険・控除制度について紹介します。


ヘルメット治療にかかる費用の概要

ヘルメット作成の他にかかる費用の項目例は以下のとおりです。

  • 初診料
  • 頭部のスキャン費用
  • 治療中のヘルメット調整費用
  • 治療期間中の診察料

これらの金額は、ヘルメット作成費用に含まれているケースがほとんどです。しかし、別途追加されるクリニックもあるので、事前に確認しておきましょう。

また、ヘルメットを清潔に保つためには、自宅でのお手入れが必要です。そのため、お手入れに使用するアルコールシートなどの消耗品費もかかります。病院から遠方にお住まいの方は通院のために交通費が発生する点も覚えておきましょう。


保険適用はある?条件をチェック

ヘルメット治療は自由診療です。公的医療保険の対象外のため、基本的に全額自己負担となります。しかし、加入している保険によっては、ヘルメット費用が治療用装具療養費と認められるケースがあります。厚生労働省の資料によると、治療用装具療養費として認められるのは、疾病もしくは負傷の治療に必要とされるものです。ヘルメット治療が美容目的と判断された場合、対象外となる可能性があるので注意しましょう。
ヘルメット費用が治療用装具療養費として認められると、一部費用の補助が受けられる場合があります。ヘルメット治療検討中の方は、加入している公的医療保険(共済組合や健康保険組合など)へ確認してみてください。


高額療養費制度は利用可能?

高額療養費制度とは、医療機関などの窓口で上限額を超えた医療費を支払った場合、給付が受けられる制度です。保険加入者の年齢や所得に応じて定められた上限額を超えた分が、給付金額となります。

ただし、高額療養費制度の対象となる医療費とは、保険適用の診療のみを指します。ヘルメットが治療用装具療養費として認められなかった場合、高額療養費制度による給付は受けられないため注意しましょう。

ヘルメット治療は医療費控除の対象になる?

治療用装具療養費や高額療養費制度について説明しましたが、ヘルメット治療が保険適用となるケースはそう多くありません。しかし、ヘルメット治療が保険適用対象外と判断された場合でも、医療費控除の対象になるかもしれません。ここでは、ヘルメット治療を行う際に覚えておきたい、医療費控除制度について詳しく解説します。


医療費控除とは?利用するメリットと対象

医療費控除とは、その年の1~12月中に支払った医療費の総額が一定ラインを超えている場合、課税所得金額から差し引くことができる制度です。医療費の総額は、生計をともにする家族分を合算した金額になります。課税の対象となる金額が少なくなるため、所得税や住民税の負担が軽くなるのが医療費控除を利用するメリットです。

医療費控除の対象となるのは、保険適用の医療費だけではありません。国税庁の公式サイトを参考に、医療費控除の対象となる費用例を以下にまとめました。

  • 医師もしくは歯科医師による診療および治療の対価
  • 治療および療養に必要な医薬品の購入費用
  • 助産師による分娩介助の対価
  • 医師による診療を受けるための通院費(公共交通機関利用の場合)
  • コルセットなどの医療用器具の購入費用

ヘルメット治療費用が医療控除の対象となるかどうかは、目的や必要性によって個別に判断されます。あくまで、医療費控除の対象になるかの最終的な判断を行うのは、税務署です。気になる方はまずは税務署へ問い合わせてみることをおすすめします。

出典:厚生労働省


医療費控除される金額と申請方法

医療費控除の最高金額は200万円です。医療費控除の対象金額は、主に以下の計算式で求められます。

医療費控除額=(1年間に支払った医療費の総額-保険金などによる補てん額)-10万円
※総所得金額等が200万円未満の場合は、総所得金額等の5%

医療費控除は、確定申告にて申請が可能です。必要事項を記入して、所定の税務署へ提出してください。なお、医療費の領収書は、申告期限日などから5年間は保管しておきましょう。

ヘルメット治療に利用できる補助金・助成金制度

つづいて、ヘルメット治療の補助金や助成金について見ていきましょう。基本的に保険適用外となるヘルメット治療は、国からの補助金が受けられないのが現状です。しかし、自治体の制度を利用することで、金銭的負担を減らせるかもしれません。ここでは、ヘルメット治療に利用できる補助金や助成金制度について紹介します。


自治体で行っているヘルメット治療の補助金制度

決して多いとは言えませんが、ヘルメット治療の補助金支給の実績がある自治体があります

例えば、静岡県三島市。所定の条件を満たしている方を対象に、頭蓋形状矯正ヘルメットの購入費に対して、補助金を給付しています。

ヘルメット治療を検討している方は、住んでいる自治体に補助金制度があるかどうか、確認してみましょう。

出典:静岡県三島市


自治体の小児医療費助成制度

ヘルメット治療開始までの流れのなかで、小児医療費助成制度によって金銭的負担を軽減できる部分があります。ヘルメット治療は基本的に保険適用の治療です。一方で、赤ちゃんの頭のゆがみに関する診察や検査は保険適用の範囲内であることがほとんどです。そのため、初診時の診察や検査は、自治体によって小児医療費助成制度の対象となるでしょう。

こども家庭庁が2024年に行った「こどもに係る医療費の助成についての調査」によると、全ての市町村で子どもの医療費に対する助成の実施を行っています。ただし、対象年齢や所得制限などの条件は、自治体によってさまざまです。住んでいる自治体の小児医療費助成制度をチェックしてみてください。なお、小児医療費助成制度は、「子ども医療費助成制度」や「乳幼児医療助成制度」など、自治体によって名称が異なります。

出典:こども家庭庁

ヘルメット治療の受診方法と進め方

最後に、ヘルメット治療の受診方法と進め方について見ていきましょう。


どの医療機関を受診すればいい?

ヘルメット治療を始めるためには、まず受診するクリニックを選ばなければなりません。とはいえ「どこを受診したらいいの?」と、お悩みの方もいるでしょう。そこで、下記にヘルメット治療を行うクリニックを選ぶポイントをまとめました。

  • 頭のゆがみが病気による変形ではないか正しく診断できる専門医がいる
  • 客観的データを用いて治療の要・不要を判断できる
  • 定期健診を行い、赤ちゃんの発達や治療の効果を医師が確認している
  • 赤ちゃんの頭の成長を妨げないヘルメットを採用している

ヘルメット治療は自費診療だからこそ、ママやパパが納得できる病院選びが重要です。
どんな医療設備があるか、病院の雰囲気や医療従事者の対応はどうか、困ったときに相談にのってくれるかなど、ママパパの不安に寄り添えるようなクリニックを見つけましょう。


ヘルメット治療開始までの流れ

相談するクリニックを決めたら、外来受診に進みます。一般的なヘルメット治療スタートまでのステップは以下の通りです。

  1. 赤ちゃんの頭のゆがみを診察
  2. 3Dスキャン検査や計測などを行い、頭の形状とゆがみのレベルを判定
  3. 3Dスキャン検査のデータをもとにオーダーメイドのヘルメットを作成
  4. ヘルメット治療の開始

ヘルメット治療を行っているほとんどのクリニックが完全予約制です。また、受診には、紹介状が必要なケースもあるので、事前に確認しておきましょう。また、ヘルメット治療中は、定期的に医療機関を受診し、改善度のチェックやヘルメットの調整が必要です。


ヘルメット治療の進め方

ヘルメット装着時間の目標は1日20時間以上です。しかしながら、嫌がる赤ちゃんに、初日から20時間以上着用するのは難しいことも。「1日目は4時間、2日目に5時間…」と徐々に装着時間を延ばして、ヘルメットに慣らしていくのがおすすめです。就寝中など、床と後頭部が接している時間は、とくに効果が期待できます。装着期間は、赤ちゃんによって異なりますが、半年程度が一般的です。ゆがみの重症度や改善状況には個人差があるため、医師の指示に従い、通院します。


まとめ|制度を活用してヘルメット治療の負担を減らそう

ヘルメット治療の金銭的負担を軽減する制度を紹介しました。ヘルメット治療の費用は決して安くありません。赤ちゃんの未来のために治療を行いたい一方で、金銭的な負担が決断の足かせになることも…。この記事が、ヘルメット治療の第一歩を踏み出すきっかけになったら、幸いです。
なお、ヘルメット治療開始の月齢は、首がすわった生後2・3か月~8か月ごろの乳児期がベスト。適正時期を逃さないよう、赤ちゃんの頭のかたちが心配になったら、早めの受診が大切です。「受診したほうがいい?」「ヘルメット治療を始めるべき?」と迷っている方は、ぜひ相談室へお問い合わせください。