頭のゆがみと発育
2020年6月2日
生後1ヶ月の赤ちゃんはまだまだ小さく、赤ちゃんの状態や今後の成長について何かと気になるもの。「生まれたばかりの我が子の頭がゆがんでいるような気がする」と頭のゆがみについて心配な保護者の方もいるのではないでしょうか。今回は生後1ヶ月の赤ちゃんの頭のゆがみが気になったときの対処法についてお伝えします。
生後1ヶ月の赤ちゃんの頭がゆがんでしまうのはなぜでしょうか。赤ちゃんの頭のゆがみが生じる理由はひとつだけでなく、複数あります。ここでは、生後1ヶ月の赤ちゃんの頭のゆがみの原因について見ていきましょう。
頭のゆがみは、お腹の中にいる頃から始まっていることがあります。お腹の赤ちゃんの体が大きい、初産や双子などで子宮内の空間が狭いなど、子宮の中で圧迫を受けることによって頭のゆがみが生じることがあるといわれます。
出産時の状況で頭のゆがみが誘発されることもあります。逆子での出産、難産、吸引分娩などがその例です。出産時に産道に頭が圧迫されたり、吸引分娩で引っ張られたりして外部から力が加わることで、ゆがみが生じてしまうのです。
生まれたあとの生活の状況によって頭のゆがみが起こるケースとしては、寝ぐせや向きぐせが挙げられます。寝ぐせ・向きぐせは寝ているときや抱っこのときの頭の向きが偏ることを指します。寝ぐせや向きぐせのある赤ちゃんは頭の同じ面が常にベッドに接するようになってしまい、頭のゆがみにつながってしまうのです。
赤ちゃんの頭のゆがみの多くは上に挙げたような外部の要因によるものですが、中には病気が原因で頭のゆがみが起きている場合もあり、注意が必要です。頭のゆがみが生じる病気として「頭蓋縫合早期癒合症(ずがいほうごうそうきゆごうしょう)」があります。
頭蓋骨縫合早期癒合症は、通常はいくつかのピースに分かれて脳の成長に合わせて徐々につながっていく赤ちゃんの頭の骨が、通常よりも早くつながってしまう病気です。赤ちゃんの頭の骨が早くつながってしまうと、その部分の骨はそれ以上成長できなくなり、頭のゆがみが生じて赤ちゃんの脳を圧迫してしまいます。それにより、赤ちゃんの発達にも影響が及ぶことがあるのです。
頭蓋骨縫合早期癒合症は、赤ちゃんの発達への影響を防ぐためにも早期発見・治療が大切です。
このように、赤ちゃんの頭のゆがみの原因はいくつもあります。頭蓋骨縫合早期癒合症はまれな病気であるものの、万が一の病気の可能性も考えて赤ちゃんの頭のゆがみが気になったら早めに医師に相談することをおすすめします。
先ほども述べたように、病気の可能性を調べるために生後1ヶ月であっても一度病院を受診したほうがよいでしょう。もし、頭のゆがみのほかに気になる症状がある場合は早めの受診がおすすめです。
まずはかかりつけの小児科医に頭のゆがみが気になることを相談するとよいでしょう。
生後1ヶ月の頭のゆがみは、病気でない場合、今後の成長によって自然と気にならなくなっていくこともあります。そのため積極的に治療を行わずに様子を見ることもあります。
月齢が進んでも頭のゆがみが改善せず強くなっていく場合には、頭のゆがみを矯正する「ヘルメット治療」を受けられることもあります。ゆがみの原因が病気であるケース(頭蓋骨縫合早期癒合症など)では、赤ちゃんの月齢や状態を見ながら適切な時期に手術を行い、ゆがみを取り除きます。
ゆがみの程度やゆがみの原因、月齢によってどのような対応を取るかは異なるため、受診先の医師の指導やアドバイスを踏まえて不安なことがあれば相談しましょう。
生後1ヶ月は、これから頭のゆがみが改善していくことも考えられる時期です。そのため「ヘルメット治療」などの積極的な治療ではなく、赤ちゃんの頭のゆがみが進行しないように抱っこの仕方や寝かせ方などの生活上の工夫をして様子を見ていくことが多いです。
赤ちゃんはどうしても頭の平らな部分を下にして寝てしまいがちです。寝ているときに無理やり姿勢を変えると嫌がる赤ちゃんもいるため、起きているときになるべく姿勢を変える工夫をするとよいでしょう。
生後1ヶ月だと、保護者に抱っこされて過ごす赤ちゃんも多いです。抱っこも利き腕ばかりでなく、左右の向きを変えたり、縦抱き、横抱きを交互に行ったりして頭の接する部分が偏らないように気をつけてみましょう。
生後1ヶ月の赤ちゃんではこれから自然と頭の形が丸くなっていく可能性も十分にあるため、過剰に心配する必要はないといえます。ただし、中には病気によって頭のゆがみが起きていることもあります。病気の可能性を見逃さないためにも、頭のゆがみが気になったら早めに一度かかりつけの医師などに相談することをおすすめします。
そして医師からのアドバイスをもとに、頭のゆがみが進まないよう抱っこや寝かせ方などの工夫をするとよいでしょう。
日本赤十字社医療センター小児外科部長、東京大学小児外科教授を歴任後、東京西徳洲会病院で総長を務める。同院を退任後、現在はメディカルノート社外取締役及びジャパン・メディカル・カンパニー社外取締役。これからの医療には産業界との連携が欠かせないという考えのもと、医療人として・企業人として、双方の視点から医療の進歩に貢献している。
日本赤十字社医療センター小児外科部長、東京大学小児外科教授を歴任後、東京西徳洲会病院で総長を務める。同院を退任後、現在はメディカルノート社外取締役及びジャパン・メディカル・カンパニー社外取締役。これからの医療には産業界との連携が欠かせないという考えのもと、医療人として・企業人として、双方の視点から医療の進歩に貢献している。
この相談室は、医療機器メーカである株式会社ジャパン・メディカル・カンパニーが運営。赤ちゃんの頭の形に関する疑問・質問を受けつけています。
向き癖やヘルメット治療について。お悩みになっていること、もっと知りたいことなど、ぜひお気軽にご相談ください。
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