「乳児健診」とは、生後間もない赤ちゃんの健康保持や病気の早期発見を目的とした健康診査のことを言います。
出生した病院で行うことが多いですが、1ヶ月健診とはどんな内容で、何を準備していけばよいのかわからないママも多いですよね。
そこで本記事では、1ヶ月健診の持ち物や服装、チェック項目、よくある質問を解説します。
目次
赤ちゃんの1ヶ月健診とは?
1ヶ月健診は、生後1ヶ月の赤ちゃんを対象とした乳児健診です。法的に義務化された健診ではありませんが、ほとんどすべての赤ちゃんが受けています。
▼乳児健診とは
「乳幼児健康診査」の略で、産まれて間もない赤ちゃんの健康保持及び増進を目的とし、発育・栄養状態、病気の有無、予防接種の時期・種類などの項目を担当医が定期的にチェックするものです。また赤ちゃんの状態だけでなく、その家族を含めた子育て状況を把握する面も持ち合わせています。 |
1ヶ月健診で赤ちゃんの健康に異常がなければ、外出や大人と一緒の入浴を認められることが多いようです。
また出産直後の母体は、子宮口が開いており体力も消耗していることから、感染症にかかりやすい状態となっています。そのため1ヶ月健診では、赤ちゃんだけでなくママの健診も同時に行うことが多いです。
感染症予防のため控えるよう言われていた入浴も、健診で子宮口が閉じていると診断されれば、安心して湯船に浸かれるようになりますよ。
いつ・どこで・どうやって受けるの?
1ヶ月健診は、どうやって受けたらいいのか、費用はかかるのか気になりますよね。
1ヶ月健診は、出生した医療機関で行う場合が多いです。その場合、退院時に1ヶ月健診の予約を取り、当日受診をします。出生した病院で必ず受けなければいけない、という決まりはないので、どこの病院で受けても問題ありません。
また、1ヶ月健診は健康保険の対象ではないため、費用は全額自己負担です。自治体によっては無料(公費負担)や一部の負担で受けられる場合もあるので、お住まいの自治体ホームページを確認しておきましょう。
生後2ヶ月以降の乳幼児健診には、ほとんどの市区町村が任意で行っている3〜4ヶ月児健診と9〜10ヶ月健診、全ての子どもが受ける1歳6ヶ月児健診、3歳児健診があります。
自治体によってはその他の月齢でも健診をしているので、事前確認しておくと良いですね。
1ヶ月健診の内容
ここからは、ママの産後健診と赤ちゃんの1ヶ月健診の主な診察項目、準備する内容について確認していきましょう。
チェック項目(ママ)
ママの診察では、母体が回復しているのかの確認と、母乳は出ているのかなどをチェックされます。
- 母乳の状態
- 子宮復古
- 悪露の状況
- 貧血、高血圧や浮腫など
- 悩み事などの確認
また、1ヶ月健診で母体に問題がないと診断されたら、入浴や夫婦生活を再開することができます。
チェック項目(赤ちゃん)
赤ちゃんの診察では、体重は順調に増えているか、先天性の病気はないかなどを確認されます。
- 栄養法や母乳などの飲み具合
- 身長、体重、胸囲、頭囲
- 手足をよく動かすか
- 原始反射
- 筋性斜頸や股関節脱臼の有無
- 視線・音や声への反応など
- 視覚や斜視に心配がないか
- 大きな音にびっくりするか
1ヶ月健診で赤ちゃんに問題ないと診断されると、外出できるようになったり、大人と一緒に入浴できるようになったりします。
また、担当の医師に「何か質問や悩みはありますか?」と聞かれることが多いので、気になることをまとめておくと良いでしょう。
健診の持ち物、服装
下記に、健診時に必要な持ち物をまとめました。
※1 自治体や病院によって異なりますが、ママ、赤ちゃんそれぞれに3,000円〜5000円程かかります。母子が同じ日に健診を受ける場合は、1万円ほど準備しておくと安心です。 ※2 自治体によって異なります。 ※3 保健適応外の健診には必要ありませんが、健診結果によっては診療が必要になるため、持参しておくとよいでしょう。保険証の作成が間に合っていない場合は、そのことを病院に伝えて指示を受けてください。 |
次に、赤ちゃんとママの服、おすすめの移動方法についてまとめています。
▼赤ちゃんの服装
診察で服を脱ぐため、脱ぎ着させやすい前開きの肌着やカバーオールなどがよいでしょう。おくるみがあると、温度調節や睡眠時の掛け物として使えるので便利です。 ▼ママの服装 産後健診で子宮の内診や母乳の状態を見るため、スカートや脱ぎ着しやすいズボン、前あきのシャツなどがよいでしょう。(赤ちゃんの1ヶ月健診とママの産後健診を別日に行う医療機関もあります。) ▼赤ちゃんの移動方法 「抱っこ紐」か「ベビーカー」が便利です。どちらが良いかは、赤ちゃんの性格や病院の広さなどによって異なりますが、すぐ泣いてしまう赤ちゃんには「抱っこ紐」を使った方が、病院でもあやしやすいかもしれません。 |
【Q&A】1ヶ月健診でよくある質問
ここでは1ヶ月健診でママやパパから聞かれることの多い項目について説明します。
1ヶ月健診に行かなかったらどうなりますか?
1ヶ月健診に行かなかった場合は、病院が状況確認のために電話をしたり、必要に応じて役所の職員が訪問をすることがあります。
出生した病院を退院後、他の病院に長期入院していて健診に行けないなどの場合は、その旨を伝えてください。
里帰り出産なのですがどこで受けたらいいですか?
1ヶ月健診前に自宅に戻る場合は、出生した病院以外でも受けられることがあります。事前に病院に問い合わせてみるとよいでしょう。
湿疹やおむつかぶれが治りません
新生児の皮膚はとても敏感で、ホルモンの分泌が多く、おむつの蒸れや乾燥で皮膚のトラブルを起こしやすいです。不織布のお尻ふきが肌に合わない場合は、濡らしたコットンやガーゼで洗い流すようにお尻を拭くと改善されることがあります。
また、沐浴時に目の周りや脇の下、首、手足のシワに石鹸の洗い残しがあると湿疹ができやすいので、シャワーを使ってしっかりと洗い流します。
以前は新生児には保湿剤が必要がないと言われていたこともありますが、最近は新生児期からローションやオイルで全身を保湿をすることが推奨されています。
1ヶ月健診に保険証は必要ですか?
保健適応外の健診には必要ありませんが、健診結果によっては診療が必要になるため、持参しておくとよいでしょう。保険証の作成が間に合っていない場合は、病院からの指示を受けてください。
完全ミルク育児だと指摘されますか?
健診ではあくまでも赤ちゃんの健康を確認しているため、母乳かミルクを飲ませて体重が順調に増えていることが大切です。
完全ミルクだからといって、怒られたり、責められたりすることはないので安心してくださいね。
ミルクの吐き戻しが多いです
赤ちゃんは、からだに対して胃の割合が高く、吐きやすいものです。吐いても赤ちゃんの様子に変わりがなければ問題ないので安心してくださいね。
体重が増えない、母乳やミルクを飲みたがらない、といった場合は1ヶ月健診で相談しましょう。
母乳が足りているのか不安です
母乳が足りているのかの目安は、体重の増加とおしっこの回数と言われています。
体重は生後3ヶ月までは1日約25〜30g程度、1ヶ月で700〜1kg程度増加していて、おしっこは1日8回前後出ていれば、水分は足りているようです。
気になる場合は、哺乳量測定といって、授乳の前後に赤ちゃんの体重を測り、差し引きから摂取した母乳量を計算する方法もあります。
鼻詰まりがなかなか治りません
赤ちゃんは鼻の奥が狭いので、鼻が詰まってブヒブヒ、フガフガという音がよくしています。必ずしも風邪をひいている訳ではありません。
普段と変わりなく、母乳やミルクが飲めていれば、問題ないので安心してくださいね。成長して鼻の奥が広くなってくれば詰まらなくなるでしょう。
寄り目になっている気がします
赤ちゃんは、目の周りの筋肉や視力が低いため目の位置が安定せず、寄り目に見えることがあります。成長と共に治るので安心してくださいね。
矯正が必要な寄り目に関しては、関連記事で解説しています。
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頭がゆがんでいる気がします
赤ちゃんの頭は、産道を通るためにとてもやわらかく、少しの圧力でゆがんでしまうことがあります。主な原因は、出産前後の圧迫や向き癖ですが、まれに頭蓋骨が変形する病気が隠れていることもあります。
1ヶ月健診で頭のゆがみを相談することもできますが、担当の医師は頭のかたちの専門医ではありません。ゆがみが気になる方は、「頭のかたち外来」で相談することをおすすめします。
頭のかたちのゆがみはチェック項目に含まれない
生後1ヶ月の赤ちゃんの親御さんからよくいただくお声に「頭がゆがんでいる気がするのですが、放っておいて大丈夫ですか?」といった不安があります。
実は、乳児健診で赤ちゃんの頭のかたちについて診察する項目は特にありません(2021年5月現在)。
頭部の診察では、頭囲の測定により病気の可能性を判別したり、大泉門(※)の閉じ具合を確認することがありますが、頭のゆがみについては、医師から特に指摘をしないことがほとんどのようです。
保護者から心配事を伝えても「気にしなくて良い」と返答されることが多いという意見もありました。また3,4ヶ月健診まで様子をみる、家で寝かせ方を工夫するよう言われることもあるようです。
しかし、ゆがみの強さによっては寝かせ方では改善されず、ヘルメット治療が必要な場合があります。ヘルメット治療は生後2〜6ヶ月には開始していることが望ましいとされているため、診察予約やヘルメット作成時間を考えると、次の健診まで様子を見ることは危険かもしれません。
赤ちゃんの頭のかたちが少しでも気になる場合は、どの程度のゆがみなのか、どんな対処をしたら良いかなど、現在の状態を専門医に相談してみることをおすすめします。
※大泉門とは赤ちゃんの頭部の骨の継ぎ目のこと。出産時に産道を通るため柔らかくなっているものが、通常1年〜2年程で閉じていきます。
育児に困ったときは行政サービスを活用するのもおすすめ
育児をしていて、困ったとき、わからないことがあるときは、行政が行っているサービスへ電話して質問できます。中には24時間電話を受け付けているサービスもあります。
「すぐに病院受診すべきかわからない」「育児について気軽に相談できる人がいない」など、育児に関する悩みごとは以下のような行政サービスへ相談してみてください。
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まとめ|1ヶ月健診の内容や持ち物を知り、安心して当日をむかえよう
1ヶ月健診はほとんどの赤ちゃんが出生した病院で受ける健診です。そこで、赤ちゃんが元気に育っているか、何か異常はないか、ママが何に困っているかを細かく診察します。
慣れない赤ちゃんの移動や着替えをママが1人で行う場面もあるので、事前に想定して服装や持ち物の準備をしておくことをおすすめします。
ママが赤ちゃんの子育てで色々なことを不安に思うのは当たり前のことです。1ヶ月健診や専門家を活用し、不安を解消して前向きに子育てができるとよう応援しています。
まずは無料で相談してみませんか?
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●うちの子にヘルメット治療は必要だろうか?
●費用はどれくらいかかるの?
●かかりつけ医師には「大丈夫」と言われているけど?
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ご希望があれば病院や専門医も紹介していますので、不安なお気持ちやもっと知りたいことなど、ぜひお気軽にご連絡ください。
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1989年、東北大学医学部卒業、東北大学脳神経外科入局。1997年、東北大学医療技術短期大学講師。2000年、東北大学医学部脳神経外科講師。2002年、米国フェニックス、St. Joseph’s Hospital and Medical Center, Barrow Neurological Institute 臨床研修留学。2004年、ドイツ:ハノーバー、International Neuroscience Institute 脳神経外科 臨床研修留学。2004年〜2014年、東京慈恵医科大学脳神経外科講師。2014年〜脳神経外科・脳ドック、リハビリテーション病院、人間ドック・検診クリニック部長、院長、内科・整形外科クリニック、訪問診療、と総合診療を経験ののち、2018年より医療法人社団ICVS東京クリニック勤務。2019年、同クリニック院長・理事、現在に至る。