頭のゆがみ

生後1ヶ月の頭のかたち|特徴やゆがみの原因、対策について


産後1ヶ月は、ママにとってもパパにとっても大変な時期。

そんななか、1ヶ月健診で「向き癖」を指摘された方や、赤ちゃんの頭のゆがみに悩み始めた方も多いのではないでしょうか。

生後1ヶ月の赤ちゃんは、多少寝返りをうつようになっても1日のほとんどを仰向けで過ごしますよね。

手足をバタバタと動かせられますが、自力でからだの向き変える力強さはまだないため、ゆがみ対策をしやすい時期でもあります。

そこで本記事では、赤ちゃんの頭がゆがみやすい理由を解説し、生後1ヶ月からできるゆがみ対策を紹介しています。

日下康子 先生

1989年、東北大学医学部卒業、東北大学脳神経外科入局。1997年、東北大学医療技術短期大学講師。2000年、東北大学医学部脳神経外科講師。2002年、米国フェニックス、St. Joseph’s Hospital and Medical Center, Barrow Neurological Institute 臨床研修留学。2004年、ドイツ:ハノーバー、International Neuroscience Institute 脳神経外科 臨床研修留学。2004年〜2014年、東京慈恵医科大学脳神経外科講師。2014年〜脳神経外科・脳ドック、リハビリテーション病院、人間ドック・検診クリニック部長、院長、内科・整形外科クリニック、訪問診療、と総合診療を経験ののち、2018年より医療法人社団ICVS東京クリニック勤務。2019年、同クリニック院長・理事、現在に至る。

生後1ヶ月の赤ちゃんの頭がゆがむ原因

生後1ヶ月の赤ちゃんはまだまだ小さく、頭のゆがみが生じる理由はひとつだけでなく複数あります。

1. 子宮内の環境

そもそも頭のゆがみは、お腹の中にいる頃から始まっていることがあります。
お腹の赤ちゃんの体が大きい、初産や双子などで子宮内の空間が狭いなど、子宮の中で圧迫を受けることによって頭のゆがみが生じることがあるといわれます。

2. 出産時の環境

赤ちゃんの頭は産道を通ることができるようとても柔らかく、少しの衝撃でも変形しやすいようになっています。
そのため出産時は産道の圧力で、頭のかたちがゆがむことがあります。
自然分娩ではなく吸引分娩で出産した場合は、頭を引っ張られるなど外部から力が加わることで特にゆがみが出やすいです。
これらのゆがみは「放っておいたら元に戻るよ」と言われたことがあるかもしれません。

3. 向き癖

生まれたあとの生活の状況によって頭のゆがみが起こる原因として最も多いのが「向き癖」です。
向き癖とは、赤ちゃんが寝ているときや、赤ちゃんを抱っこしているとき、いつも同じ方向を向いている状態のことを言います。
後頭部の同じ面ばかりに圧力がかかるため、頭がゆがむ原因となります。
特に生後1ヶ月の赤ちゃんは、出産前後にできた頭のゆがみで向き癖がつきやすい特徴があります。

4. 頭蓋骨縫合早期癒合症などの病気

生後1ヶ月の赤ちゃんの頭がゆがんでいる原因には、頭蓋骨縫合早期癒合症(ずがいこつほうごうそうきゆごうしょう)という先天性の病気が潜んでいる可能性もあります。
頭蓋骨縫合早期癒合症とは、何らかの原因で赤ちゃんの頭蓋骨が早期にくっついてしまう病気のことです。
運動能力や言語能力に影響が出る可能性がとても高いため、早期の手術を検討する必要があります。
「頭がゆがんでいる気がするけど大丈夫かな?」と悠長にしていると、思わぬ病気に気がつかない場合があるので、違和感を感じたらすぐに病院を受診するようにしましょう。

1ヶ月健診で頭のかたちについては診られない

向き癖や頭のゆがみを、「1ヶ月健診」で相談したいというママやパパも多いでしょう。
1ヶ月健診は、身体測定や運動機能の検査、視覚や斜視などが主な検査項目となっています。
どちらかというと赤ちゃんの成長に関することの検査がメインになるので、頭のかたちについて詳しく診てもらえる可能性は低いです。
もし1ヶ月健診を受ける段階で頭のかたちに違和感を感じていたら、別途「頭のかたち専門医」を受診しましょう。

ゆがみを防ぐために日常的に意識できること

生後1ヶ月の赤ちゃんは、首もすわっていないので動きがそこまで大きくなく、ゆがみ対策をしやすい時期でもあります。
親御さんが日常的に意識することで、ゆがみを防いだり改善したりすることができるでしょう。
日常的にできる対策は以下の通りです。
  • 頭の向きをこまめに変える
  • 授乳時の頭の向きを工夫する
  • 床や柱に怪我防止のガードをつける
寝ているときや授乳のときに、赤ちゃんが向いている方向が偏らないよう、頭の向きをこまめに変えてあげることが大切です。
出産前後にできたゆがみがある場合は、丸めたタオルなどを使って、向きを変えてあげると良いでしょう。
たとえば、頭の右側に出っ張りがある場合は、右側が床側になるよう、タオルを使って赤ちゃんの向きを変えます。
ただ、赤ちゃんが窒息してしまう可能性があるので、うつ伏せにならないよう注意しましょう。
また向き癖だけでなく、床や柱に赤ちゃんが頭をぶつけた衝撃でゆがむこともあります。
怪我が原因のゆがみは、床にマットを敷いたり、柱に柔らかい素材のガードをつけたりすることで防ぐことができます。
赤ちゃんの頭がゆがまないよう常に様子を見るのは大変ですので、パパとママが協力し合って、赤ちゃんの頭のゆがみを日常的に防いでいきましょう。

頭のゆがみは、生後1ヶ月からでも治療すべき?

「まだ生後1ヶ月だしこれから治るかも」と思われる方も多いでしょう。
実際に、周りから「放っておいたら治る」と言われたという声もよくあります。
しかし、赤ちゃんの頭のゆがみは放っておいてはいけません。
赤ちゃんの頭が少しでも気になる場合は、治療を受ける/ 受けないを判断する前に、まずは月齢に関係なく専門家に相談して正しい知識を得ておいた方が良いでしょう。
確かに生後2ヶ月以降て髪の毛が生えてくると、頭のかたちが気にならなくなる場合もあります。
しかし頭のゆがみが元に戻り、自然と丸くなるのは難しいのが現状です。
前述した頭蓋骨縫合早期癒合症を見逃してしまう可能性もありますので、赤ちゃんの頭のかたちに少しでも違和感を感じたら、専門の医師に診てもらうと安心です。

正しい知識と診察は「頭のかたち外来」へ相談しよう

赤ちゃんの頭のゆがみが気になったら、放っておかずに「頭のかたち外来」を受診しましょう。
頭のかたち外来とは、赤ちゃんの頭のかたちに関する治療を行っている専門医療機関のことです。
赤ちゃんの頭のゆがみが重度な場合は、「ヘルメット治療」と呼ばれる方法でゆがみを矯正できることもあります。
「生後1ヶ月で頭のことを受診するのは早すぎるのでは?」と思われる方もいるかもしれませんが、ヘルメット治療の推奨月齢は生後2〜6ヶ月のため、治療が気になる方は早めに受診しましょう。

まとめ|頭のゆがみが気になったらすぐ専門医に相談を

今回は生後1ヶ月の赤ちゃんの頭のかたちについて触れてきました。
赤ちゃんの頭は柔らかいため、かたちが変形しやすいのは自然なことです。
ただ、ゆがみを放置してしまうと、かたちがゆがんだまま頭蓋骨がかたくなります。
生後間もない生後1ヶ月からゆがみの対策をとると、綺麗で自然なかたちに戻りやすいでしょう。
少しでもかたちが気になったら、専門家に相談することをおすすめします。
生後1ヶ月頃の赤ちゃんの頭のかたちが気になっている親御さんは、ぜひ今回の内容を参考にしてくださいね。