赤ちゃんの頭のかたち相談室
Consult & Column赤ちゃんの絶壁の治し方は?原因や自宅でできる予防や対処法を解説
赤ちゃんの頭が絶壁になっている気がする、と感じたことはありませんか?
絶壁になってしまった頭のかたちを治せるかどうか不安になるかもしれません。
実は、赤ちゃんの頭のかたちが決まってしまう前のやわらかい時期であれば、改善するための対処法があります。
絶壁の度合いによっては、矯正治療の方法として「ヘルメット治療」を検討することもできます。
本記事で読むことで、頭のゆがみの原因や自宅でもできる予防方法、ヘルメット治療の検討など、わが子にできる最善の手段を選択できるようになりますので最後までご覧ください。
頭のゆがみが気になったら、
まずはお気軽にご相談ください
「赤ちゃんの頭のかたち相談室窓口」では、赤ちゃんの頭のかたちにお悩みの保護者さまに向けて、無料相談を受け付けています。 相談室スタッフが頭のかたちについてのお悩みをお聞きし、ご希望があれば医療機関もご紹介しています。 不安なお気持ちやもっと知りたいことなど、ぜひお気軽にご連絡ください。 どなたさまでもWebフォームから無料でご相談可能です。
草川 功 先生
1979年東京教育大学附属高等学校。1983年東京医科大学医学部卒業。1983年東京医科大学附属病院小児科。1984年亀田総合病院小児科。1985年国立小児病院麻酔集中治療科・国立小児医療研究センター病態生理研究室。1987年米国ピッツバーグ小児病院麻酔集中治療科・呼吸生理研究室。1990年東京医科大学附属病院小児科(新生児部門)。1992年聖路加国際病院小児科。2022年同定年退職。2022年0歳からのア頭のかたちクリニック、わたなべこどもクリニック。
絶壁とは
絶壁とは、後頭部が丸みを帯びずに平坦になっている状態のことを指します。
横から見ると鼻から後頭部にかけて短く見えるので、別名「短頭症」とも呼ばれます。
※ちなみに短頭症(たんとうしょう)が「頭の前後の長さが横幅に対して短い頭のかたち」と表現されることに対し、絶壁頭は、正確にはそれに平坦部分が加わった頭蓋変形を指します。
どうして絶壁になるの?
どうして後頭部が平らな絶壁になるのでしょうか。ここではその原因をみていきましょう。
仰向けで寝かせる
赤ちゃんの頭はとてもやわらかく、外から圧力が加わることで絶壁になることがあります。原因の一つが仰向け寝です。
仰向け寝の方がうつぶせ寝に比べて、乳幼児突然死症候群(SIDS)の発生率が低いことが知られています。
そのため、赤ちゃんの寝かせ方としては仰向け寝が推奨されていますが、仰向けで寝かせていると頭の自重によって後頭部に圧力がかかり続けるため、長時間の仰向け寝は絶壁の原因の一つになることがあるのです。
頭蓋骨縫合早期癒合症の可能性
もう一つの絶壁の原因は、頭蓋骨縫合早期癒合症(ずがいほうごうそうきゆごうしょう)というまれな病気の可能性です。
赤ちゃんの頭蓋骨はいくつかのパーツにわかれていて、骨同士のつなぎ目はやわらかくなっています。
通常はやわらかいつなぎ目が徐々に骨化しふさがっていきますが、頭蓋骨縫合早期癒合症では、早い時期に骨同士の間がとじてしまいます。
頭蓋骨縫合早期癒合症では頭のかたちの変形がみられ、つなぎ目がとじてしまう場所によっては絶壁になることがあります。
頭蓋骨の変形のほかに、頭蓋内圧が亢進することによって、脳の正常な発達に障害がでる可能性もあります。
頭のゆがみをそのままにしておくとどうなるの?
赤ちゃんの頃に変形した頭のかたちは、ゆがんだままのかたちで成長します。生まれたばかりの赤ちゃんの頭はとてもやわらかく変形しやすいのですが、徐々にかたくなり1歳半頃になると頭のかたちも決まるといわれています。
その後は、成長にともない髪の毛で目立たなくなることがあっても、頭のゆがみが成長によって大きく改善されることはありません。
実際、頭のゆがみの種類や程度によっては、見た目への影響や日常生活に支障がでてしまうことがあります。
たとえば、ゆがみによって左右の耳の高さが異なる場合、まずは見た目への影響があります。さらに、ゆがみによって眼鏡をかけることができないとなると日常生活へも支障がでてきてしまいます。
また、心配されるのは「頭蓋骨縫合早期癒合症」によるゆがみの場合です。
ごくまれなケースではありますが、頭蓋骨縫合早期癒合症では治療を必要とします。
そのままにしておくと、頭蓋内圧が亢進し、脳の正常な発達に影響を与えてしまう可能性が高いからです。
そこで、赤ちゃんの頭のゆがみが気になる場合、頭のかたちのゆがみをみてくれる専門の医療機関へのご相談をおすすめします。
そのまま様子をみてよいかどうか判断も含めて相談してみましょう。
絶壁を治せるのは赤ちゃんの頃だけ?
絶壁の改善が期待できるのは、赤ちゃんの頃の短い間だけです。
また、ヘルメット治療などの治療を開始するには、生後6ヵ月くらいまでがよいとされています。
これは、生後6か月くらいまでの赤ちゃんの頭がやわらかく変形しやすいからです。
生まれたばかりの赤ちゃんの頭蓋骨はいくつかのパーツに分かれており、骨同士の間は隙間があいています。
この隙間は成長に伴い1〜2年ほどかけて骨化し、骨同士がくっついていくことで頭のかたちは定まります。
残念ながら、頭のかたちが定まると絶壁が自然と改善することはありません。
このような理由から、赤ちゃんの絶壁の対策や絶壁の予防をおこなうことで改善が期待できるのは頭のやわらかい赤ちゃんの時期ということになります。
ヘルメット治療などの治療を検討している場合は、推奨されている治療開始期間の生後3~6か月を目安に、治療のタイミングを逃さないようにすることも大切です。
絶壁を防ぐ対策・日常的な予防法
赤ちゃんの頭がやわらかい時期にできる絶壁を防ぐ対策と予防法をみていきましょう。
体位変換
仰向けで寝たままでは、頭の自重によって後頭部に圧力がかかり続けてしまうので、寝ているときの体の向きに偏りがないように赤ちゃんのからだの位置や向きを変える「体位変換」をおこないましょう。
頭の向きに癖がある(向き癖)赤ちゃんは、頭の向きを変えるだけではすぐに戻ってしまいます。
体位変換は体ごと向きを変えるので、向き癖のある赤ちゃんの頭の向きを変える方法としても有効です。
ひとつの例として、バスタオルを使用した体位変換の方法をご紹介しましょう。
まずは、4つ折りにたたんだバスタオルをぐるぐる巻きにします。
つぎに、ぐるぐる巻きにしたバスタオルを首から背中の下に入れ込みます。
赤ちゃんを向かせたい方向と逆側の体半分にバスタオルを入れ込むことで、向かせたい方向へ体を傾ける方法です。
ただし、体位変換をおこなう場合は赤ちゃんに負担がかからないように気をつけてください。
また、自分で動くようになるとタオルとの位置がずれてしまい、姿勢を保つことができなくなるばかりか、赤ちゃんに負担のかかる姿勢を強いることにもなりかねませんので注意が必要です。
赤ちゃんの様子を見ながら時間を調整したり、姿勢を変えたりしてあげるようにしましょう。
タミータイム
タミ―タイムは赤ちゃんをうつ伏せにして過ごす時間をつくることです。
頭のかたちの改善だけでなく、運動発達にもよいとされています。
赤ちゃんの元気な時間帯に1日1〜3回、3〜5分程度の短い時間から始めるとよいでしょう。
最終的には1日で合計30~60分程度うつ伏せで過ごす時間をつくれるといいですね。
赤ちゃんが嫌がるときは無理におこなう必要は必要ありません。
まずはパパやママのお腹の上で試して、うつ伏せに慣れさせてあげましょう。
ただし、赤ちゃんがうつ伏せのまま眠ってしまうと、鼻や口がふさがれる可能性もあるため、ママやパパが必ず見守っている状態でおこないましょう。
「ヘルメット治療」もゆがみを治す選択肢の一つ
「頭のゆがみがひどい気がする」「自分で対策するだけでは心配」という方は医療機関でおこなわれている「ヘルメット治療」も検討してみましょう。
ヘルメット治療とは、赤ちゃんの頭のかたちのゆがみを改善するためのヘルメット矯正治療のことを指します。
手術をするわけでも、無理やりかたちを矯正するわけでもなく、「あくまでも赤ちゃんの自然な骨の成長に沿って、あらかじめ綺麗な頭のかたちの枠組みをつくり、そのかたちに合わせて成長を促す」という治療方法です。
医療機関では頭蓋骨縫合早期癒合症かどうかを診断してもらえるだけでなく、「ヘルメット治療」も含めて治療方針の提案を受けることができます。
また『赤ちゃんの頭のかたち相談室』では、赤ちゃんの頭のかたちが気になっているママパパからの相談を受けています。
Webフォームからは24時間いつでもご相談を受付中。
相談室スタッフがお悩みをお伺いし、次の一歩をサポートいたします。
ご希望の場合には医療機関への相談や、ヘルメット治療についてもご案内いたしますので、まずはお気軽にお問合せください。
まとめ|早めの対策・相談を心がけましょう
今回は赤ちゃんの頭が絶壁になる原因や、その治療法としてヘルメット治療について紹介しました。
ここでのポイントは以下の通りです。
- 頭の形は1歳ころにかけて徐々にかたまる
- 赤ちゃんの頭の骨がやわらかいうちは矯正によって絶壁を改善できる
- ヘルメット治療は絶壁を矯正できるが、頭の骨がやわらかい生後3~6か月のうちに装着するのが望ましい
絶壁を矯正するヘルメット治療は、赤ちゃんの頭のかたちがかたまる前に治療を開始する必要があります。
判断に迷って様子をみていると、せっかくの治療のタイミングを逃すことにもなってしまいます。
頭のゆがみが気になる場合は、頭のゆがみを診てくれる専門の医療機関にまずは相談することをおすすめします。
【Q&A】赤ちゃんの絶壁に関するよくある質問
最後に、赤ちゃんの絶壁に関する疑問について見ていきましょう。
絶壁をそのままにしておいたらどうなるの?
日本では、赤ちゃんの頭のかたちがゆがんでいても、「様子を見よう」や「自然に治る」と言われることも多いです。
軽度のゆがみであれば、赤ちゃんの成長にともなって頭のゆがみが気にならなくなることはありますが、中等度以上のゆがみがある場合は自然に改善することは難しいとされています。
また、まれではありますが病気によってゆがみが発生している可能性もあります。
様子を見ていても大丈夫なゆがみなのかどうかを判断するのは難しいため、頭のゆがみを診てくれる医療機関に相談してみるとよいでしょう。
どの程度から医療機関に診てもらった方が良いですか?
どの程度であっても赤ちゃんの頭のゆがみが気になったら、病気のチェックも含めて医療機関に相談することをおすすめします。
ゆがみの原因や程度に応じて、適切なアドバイスを受けられます。
ゆがみの原因は様々ですが、手術が必要な頭蓋縫合早期癒合症の可能性もあります。
また、ヘルメット治療をする場合、生後2〜6ヶ月ごろに始めると効果が得られやすいことからも、早めの相談が重要です。
絶壁でもヘルメット治療をしなくて良い場合はある?
はい、あります。頭のかたちやゆがみの状態によっては、ヘルメット治療が必ずしも必要ないと判断される場合もあります。
また、ヘルメット治療の対象となるゆがみがあった場合でも、最終的には親御さまのご判断になります。
ヘルメット治療によって見込める矯正効果などを医師から聞き、最終的にご判断いただくことをおすすめします。
ヘルメット治療は"絶対"ではありません
気になる点はお気軽にご相談ください
- うちの子にヘルメット治療は必要だろうか?
- 費用はどれくらいかかるの?
- かかりつけ医師には「大丈夫」と言われているけど?
お電話でのご相談
0120-627-430《受付時間》 平日9時~17時
平日9時~17時
Webからは24時間ご相談受付中
関連記事
others- 頭のゆがみ
斜頭症とは?頭がゆがむ原因や放置リスク、予防・治療方法について
監修:江藤 宏美 先生
- 頭のゆがみ
生後1ヶ月の頭のかたち|特徴やゆがみの原因、対策について
監修:日下康子 先生
- 頭のゆがみ
吸引分娩で頭のかたちが戻らないって本当?頭蓋変形の原因や対策を解説
監修:日下 康子 先生
- 頭のゆがみ
【医師監修】長頭症とは?頭が縦に長くなる原因や特徴、対策方法について
監修:中張 惇子 先生
- 頭のゆがみ
生後2ヶ月の頭のかたち|特徴や頭蓋変形の原因、対策・治療法をご紹介
監修:五味 玲 先生
- 頭のゆがみ
頭のかたちは遺伝で決まる?頭蓋変形の原因やリスク、対策について
監修:日下 康子 先生