頭のゆがみ

【医師監修】斜頭症とは?頭がゆがむ原因や放置リスク、予防・治療方法について

 

更新日:2025年12月22日

赤ちゃんの頭が左右対称ではない、部分的に平らな気がする…。とお悩みではないですか?

赤ちゃんの頭部を真上から見たり、頭を撫でたりしたときに違和感を覚えて、成長に問題がないか不安に感じるママやパパも少なくないでしょう。

日本では「ハイハイが始まると自然に治るから様子を見よう」といわれることも多いですが、そのまま頭のかたちがかたまる可能性は本当にないのでしょうか?

そこで本記事では、斜頭症の原因やゆがんだまま成長したときのリスク・影響知っておきたい対策について詳しく解説します。

江藤 宏美 先生

1988年、長崎大学にて看護師・助産師免許取得後、長崎大学病院に助産師として勤務。1993年~1994年、University of California, San Franciscoに留学、その後、1996年~2001年、聖路加看護大学(現:聖路加国際大学)にて修士課程・博士課程を修了。2002年~2012年、同大学で助産教育に携わる(准教授)。この間16年、家庭での出産に携わる。2012年より、現職の長崎大学生命医科学域、教授に就任し現在に至る。日本頭蓋健診治療研究会理事、日本助産評価機構理事、日本助産学会ガイドライン委員会・編集委員会委員、長崎県助産師会会長、日本看護科学学会英文誌編集委員会managing editor。

赤ちゃんの「斜頭症」とは?

頭部の片側が斜めに歪んでいる赤ちゃん

斜頭症とは、赤ちゃんの頭を上から見たときに頭部の片側が斜めにゆがんでいる状態のことをいいます。

ゆがみが進行すると耳の位置が左右で非対称になったり、前頭が斜めになると頬部が出っ張ったりと、頭だけでなく顔面にもゆがみが生じることがあります。

赤ちゃんの頭蓋骨が「綺麗な丸ではないな」と感じたら、顔面が左右非対称になっていないか、赤ちゃんの頭を上から見たときに左右の耳の位置がずれていないか、頭のかたち以外も見てみてください。

▼斜頭症の主な特徴
  • 頭の片側が斜めにゆがんでいる
  • 耳の位置が左右非対称

重症度はどう判断すべき?

斜頭症は頭のかたちのゆがみ具合で重症度のレベルがわけられています。「我が子は重症なのかな?」と気になるかもしれませんが、一般の方が家庭で重症度を判断することは非常に難しいのが実情です。

そのため、正確な頭のかたちを知りたい方は、まずは医療機関を受診することをおすすめします。
医療機関では目視による視覚的評価や、頭部用のノギス(測定器)を用いた計測、3Dスキャンによる計測など、複数の方法を組み合わせて赤ちゃんの頭のゆがみを評価します。

また、ゆがみの原因が「頭蓋縫合早期癒合症(ずがいこつほうごうそうきゆごうしょう)」と呼ばれる病気の場合がありますが、この病気の疑いがある場合は、病気の確定診断をおこなうためにレントゲンやCT等の検査を行うこともあります。病気を見逃してしまうと脳の発達に影響を与える可能性もあるため、早期発見が重要です。

ゆがみの度合いや、ゆがみの原因が病気かどうかは、ご家庭で判断できるものではありません。
病気ではなかった場合でも、頭のかたちに対する治療は効果の出る時期が限られています。
タイミングが遅れると、ゆがんだままのかたちで大人になることもあるため、早めに相談することが大切です。


家庭でできる、赤ちゃんの頭のかたちの観察ポイント

赤ちゃんの頭のかたちは、成長の過程や向き癖などによって左右差が生じることがあります。
ご家庭でも、いくつかのポイントを参考にしながら 頭を様々な角度から観察することで、気になる点に気づける場合があります。
観察の際は、以下のような視点が参考になります。

・真上から見たとき:後頭部の左右の形に大きな差がないか
・横から見たとき:頭の丸みの出方に偏りがないか
・正面から見たとき:耳の位置に大きな前後差がないか

これらはあくまで「ご家庭での観察の目安」であり、医療的な評価や診断を行うものではありません。

赤ちゃんの頭のかたちは、一見しただけでは判断が難しい場合も少なくありません。
「病院に相談すべきかどうか迷う」「経過を見ていてよいのか不安」など、保護者の方が悩まれるケースは非常に多くあります。
そのようなとき、状態を客観的に把握するための一つの手段として、「頭のかたち測定アプリ」を活用いただくこともおすすめです。

【頭のかたち測定アプリについて】
アプリでは、以下のような流れで赤ちゃんの頭のかたちを撮影・確認できます。

1.赤ちゃんの頭頂部をカメラで撮影
2.耳と鼻の位置を画面上で調整
3.アプリが画像を基に“ゆがみの傾向”を分かりやすく可視化

※表示される数値や図は、あくまで 画像をもとにした参考情報 であり、医療機関による診断や医師の評価に代わるものではありません。
このアプリは、医療機器メーカージャパン・メディカル・カンパニーが医師と協力して開発したもので、ご家庭で赤ちゃんの頭のかたちを客観的に把握する一助として利用されるものです。


ゆがみのレベル

赤ちゃんの頭のかたちの左右差やゆがみの程度を判断する方法には、いくつかの視点があります。
一般的には、視診触診による診察に加えて、

・人体測定用ノギス(寸法を正確に測る器具)による計測
・3Dスキャンを用いた頭部形状の評価
など、複数の指標を参考にしながら、医療機関で総合的に評価されます。

赤ちゃんの頭の左右差がごく軽い場合、成長とともに目立ちにくくなることもあります。
ただ、見た目だけでは判断が難しく、ゆがみが軽いのか、より詳しい評価が必要なのか、 をご家庭で判断することは容易ではありません。そもそも、病気によるゆがみが原因の場合もまれにあり、気になるときは、専門家への相談が安心につながります

・ママ・パパが見た印象だけで判断する
・インターネット上の情報で判断する

といった自己判断では、正確な状態を把握することが難しいため、少しでも「気になるか」と感じたときは、専門の医療機関に相談することをおすすめします。

斜頭症の原因

赤ちゃんの斜頭症の原因として、主に以下の3つの原因があげられます。

  • 頭蓋縫合早期癒合症である
  • 出産時に難産などで頭に圧がかかった
  • 向き癖がある

斜頭症には、病気が原因のケースと、外部からの圧力が原因のケース(出産時、赤ちゃんの寝方)があり、その重要度の度合いによって治療・手術の必要性が検討されます。


1. 頭蓋縫合早期癒合症である

1つ目は「頭蓋縫合早期癒合症」と呼ばれる病気が原因の場合です。

新生児の頭蓋骨のパーツは通常バラバラになっており、生後2年間で約4倍の大きさにも成長する脳の成長に伴って、1歳半〜2歳頃を目安に隙間が徐々につながっていきます。

ところがこの骨の連結(骨癒合)がなんらかの理由(遺伝疾患など)で早く起きてしまうと、早期に癒合した部分では骨が成長できなくなるため、頭蓋骨は全体としていびつなかたちに成長してしまい、脳の正常な成長を妨げてしまう場合があります。
頭蓋縫合早期癒合症が原因である斜頭症の場合、赤ちゃんの頭蓋骨が正常に拡大しないことで脳の発達に影響を及ぼすこともあるため、早期に手術を検討する場合もあります。


2. 出産時に頭に圧力がかかった

赤ちゃんの頭はとてもやわらかいため、外部からの圧力で変形しやすくなっています。
難産のため、赤ちゃんの頭が長時間産道に挟まれてしまうことで、頭に圧力がかかってゆがんでしまうこともあります。

また、出産時に赤ちゃんが自力で胎外に出ることが難しい場合に行われる「吸引分娩」では、その吸引の力によって赤ちゃんのやわらかい頭蓋骨が変形してしまうこともあります。


3. 向き癖がある

生後の向き癖も頭のゆがみの原因となります。
向き癖は赤ちゃんの頭のゆがみの原因の中でも一般的なものです。

赤ちゃんに向き癖があると、寝ているときに左右どちらかの同じ面がベッドや布団に接することになり、その状態が習慣化してしまうと頭がゆがんでしまうのです。

斜頭症をそのままにしておくとどうなるの?

赤ちゃんの頭のかたちがいびつでも「自然に治るよ」と周りにいわれることも多くありますが、本当にそのまま放置して頭のかたちは治るのでしょうか。

結論から言いますと、斜頭症を放置してしまうと、そのままのかたちで頭蓋骨が固まってしまいます。

生後すぐの赤ちゃんの頭はやわらかく、かたちが変わりやすいので自然に治る場合もありますが、月齢が進み生後6か月を過ぎると徐々に頭はかたくなり、1歳頃にはかたちがほぼ定まるといわれています。

そのため、頭のかたちが定まってしまう前、つまり、0歳児の段階で何らかの対策を取らないと、斜頭症のまま成長してしまう可能性が高くなってしまいます。

中等度以上の斜頭をそのままにしてしまうと、頭のかたちが左右非対称なことで帽子がズレやすかったり、歯並び(噛み合わせ)が悪くなったり、メガネを付けにくかったり、と将来さまざまな影響がでてしまう可能性があります。


月齢別:自然に治るタイムリミット

まずは、月齢別に赤ちゃんの頭のやわらかさについて見ていきましょう。

新生児期~生後1ヵ月頃 頭の骨と骨がまだ完全にくっついていない状態。骨がやわらかく、向き癖などで変形しやすい。一方で、やわらかいからこそ、軽度なゆがみは自然に整うことも。
生後3~5ヵ月頃 頭の骨と骨が少しずつ、硬くなり始める時期。まだ仰向けで過ごす時間が多いため、頭のかたちがゆがみやすい。
生後6~7ヵ月頃 寝返りなどで、頭への圧力が分散され、頭のゆがみが気にならなくなることも。
生後8~9~12ヵ月以上 頭蓋骨が硬くなり始める

月齢が進むにつれて頭蓋骨は硬くなります、ヘルメット治療をもし検討するのであれば少しでも早い月齢での治療が肝。
赤ちゃんの頭のかたちを整えるのはいつでもできるわけではなく、医学的なタイムリミットがあることを覚えておきましょう。


顔のゆがみがある場合に考えられる将来的な影響について

一部の研究では、将来的な影響について以下の点が指摘されています。

・目の高さや大きさの印象に左右差が見られることがある
・噛み合わせや顎の動きに左右差が出る可能性が指摘されている研究もある
・耳の位置に差が見られる場合、眼鏡やマスクのフィット感に影響することがある

これらはあくまで、「頭のゆがみの左右差が大きい場合に、関連が指摘されることがある」という内容であり、すべてのお子さまに当てはまるわけではありません。
また、研究によってさまざまな見解があり、明確に因果関係が確立しているわけではありません。

斜頭症を予防するために日常的にできること

では、頭のかたちが定まる前、0歳の段階でどのような対策をとれば良いのでしょうか。

ここでは、赤ちゃんの斜頭症を予防する具体的な対策を紹介していきます。日常的にできることなのでぜひ取り入れてみてください。


同じ姿勢を続けない

同じ姿勢を続けることで一定方向の圧力がかかり、頭のかたちがゆがみやすくなります。

同じ姿勢とは「寝ている状態」を想像する方が多いと思いますが、抱っこする姿勢や授乳中の姿勢、チャイルドシートやベビーカーなどの姿勢も当てはまります。なるべく向きを変えたり休憩したりして同じ姿勢が続かないようにしましょう。


タミータイムをおこなう

頭を一定の方向で寝かせ続けないように「タミータイム」をおこなうことが予防につながると考えられています。
タミータイムとは、保護者の方に見守られながら、おなかの上や床の上でうつぶせになることをいいます。日本では「うつぶせ遊び」「うつぶせ練習」「腹ばい練習」と呼ばれることもあります。

米国小児科学会( American Academy of Pediatrics, AAP)では乳幼児突然死症候群(Sudden Infant Death Syndrome, SIDS)を予防するために、赤ちゃんを仰向けで寝かせることが推奨されました。しかし、同じ姿勢を続けることで頭のかたちがゆがむ赤ちゃんが増えてしまい、その対策としてタミータイムがおこなわれるようになりました。

出典:米国小児科学会(American Academy of Pediatrics)

タミータイムは、窒息事故防止のため、必ずお子さまが起きているあいだのみとし、おこなう際は常に目を離さないようにしましょう。


景色を変えて向き癖を治す

同じ景色で過ごしているとある一定の方向を向いてしまう、いわゆる「向き癖」がつくことがあります。

向き癖をつけないようにベッドで寝かせる向きを180度変えたり、周りに置いているおもちゃや、保護者の方の添い寝の位置を変えたりして、赤ちゃんから見える景色を変化させてみましょう。

また、向き癖がついている場合は、向いている反対側に興味をそそるおもちゃを置いたり、音を鳴らしたりして刺激してあげるとよいです。

重度の場合はヘルメット治療を検討してみましょう

矯正用メルメットを被る赤ちゃん

「頭のゆがみがひどい気がする」「自分で対策するだけでは心配」という方は医療機関でおこなわれている「ヘルメット治療」も検討してみましょう。
ヘルメット治療とは、赤ちゃんの頭のかたちのゆがみを改善するためのヘルメット矯正治療のことです。

手術をするわけでも、無理やりかたちを矯正するわけでもなく、あくまでも赤ちゃんの頭蓋骨の自然な発達に寄り添って治療します。
あらかじめ綺麗な頭のかたちの入れ物を作り、そのかたちに合わせて成長を促す、というイメージです。
医療機関では頭蓋縫合早期癒合症かどうかの診断を受けるだけでなく、「ヘルメット治療」の適用も含めて治療方針の提案を受けることができます。

赤ちゃんの頭のかたち相談室』では、赤ちゃんの頭のかたちが気になっているパパママからの相談を受けています。
Webフォームからは24時間いつでもご相談を受付中。
相談室スタッフがお悩みをお伺いし、次の一歩をサポートいたします。
ご希望の場合には、医療機関への相談の仕方や、ヘルメット治療についてもご紹介いたしますので、まずはお気軽にお問合せください。

斜頭症かも…と思ったら? 医療機関での相談の流れ

赤ちゃんの頭の形に気になる部分があると、「どこに相談したらよいの?」「まず何をすればいいの?」と迷われる保護者の方も多くいらっしゃいます。
ここでは、相談できる医療機関の種類や、受診した場合にどのような流れになるのかをご紹介します。


「何科」を受診すべき?

赤ちゃんの頭のかたちが気になったとき、まずは かかりつけの小児科で相談してみるケースが多くあります。
一方で、頭の形の評価や治療方針の検討には、より専門的な検査や知識が必要となります。そもそも頭のゆがみには病気による歪みの可能性もあり、ゆがみが病気でないかを先ず検査するためにも、専門的な病院でみてもらう必要があります。
赤ちゃんの頭のかたち相談室では専門の医療機関のご紹介を行っていますので、少しでも気になる方はお問い合わせください。


医療機関での診断・検査の具体的な内容

斜頭症ではじめて医療機関を受診する際に、どのような診察が行われるのか不安に感じるママ・パパもいるでしょう。おもな診察の流れはこちらです。

1.視診によって頭蓋骨のかたちや、目や耳の左右差を確認
2.触診で骨の盛り上がりなどをチェック
3.レントゲン等で頭のゆがみが病気による歪みでないかを鑑別診断
4.3Dスキャナーで頭の形状と進行度を計測・診断

診察のはじめに行われる視診や触診では、頭のゆがみに加え、目や耳に左右差がないか、頭を触ったときの違和感をチェックします。
また、レントゲンで頭のゆがみが病気によるものでないかを検査したり、3Dスキャンを使ってより鮮明に頭のゆがみを調べたりします。
このように、頭のゆがみは、視診、触診、3Dスキャンなどで撮影・計測という流れで、さまざまな診察を行います。
出典:0歳からの頭のかたちクリニック

まとめ|斜頭症かも…と思ったら早めに相談してみましょう

斜頭症は「自然に治る」といわれたり、「個性のひとつ」としてそのままにされるケースも多くあります。

しかし、頭のゆがみには治療が必要な場合や、適した治療の時期があります。

低月齢のうちから、体位変換やタミータイムなど、日常的にできる向き癖対策をおこないましょう。

それでも違和感や不安が続く場合には、迷わず専門の医療機関へ相談しましょう。
「早めに行動しておけばよかった…」と後悔しないためにも、正しく現状を把握し、医師と今後の方針を話し合うことが大切です。