絶壁とは、後頭部が平らになってしまっている状態のことを指します。赤ちゃんの頭を触ったとき、絶壁になっているような気がすると感じたことのあるパパママも多いと思います。
「自然に治るよ」といった周囲のアドバイスを受けられた方もいらっしゃるかもしれませんが、本当に様子見したまま治るのでしょうか?
そこで本記事では、赤ちゃんが絶壁になってしまう原因やその対策を紹介します。
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目次
絶壁の原因とは?
赤ちゃんの絶壁は、後頭部が自然な丸みを帯びておらず、平らな状態になっていることを言います。
その見た目から、「短頭症」と呼ばれることもあります。
どうして絶壁になるの?
絶壁の主な原因は長時間仰向けで寝ていることです。
赤ちゃんの頭は非常にやわらかく、かたちが変わりやすいのが特徴です。そのため、仰向けで寝ている時間が長いと、絶壁になりやすくなります。
また、吸引分娩や、赤ちゃんが逆子だった場合も、出産時に産道を通った時の圧力で頭のかたちが変形しやすいと考えられています。

赤ちゃんの頭は、生後6ヶ月頃まではやわらかいため、かたちが非常に変わりやすく、絶壁の症状がでやすい時期だと言われています。月齢が進むと徐々に頭蓋骨がくっついて硬くなっていき、1歳頃には頭のかたちが決まりはじめるのが特徴です。
ほかにも、頭蓋骨縫合早期癒合症(ずがいこつほうごうそうきゆごうしょう)という病気が原因の場合が稀にあります。
赤ちゃんのうちはパーツに分かれている頭蓋骨のやわらかいつなぎ目が、何らかの原因で通常よりも早期につながってしまう病気です。
頭蓋骨のつなぎ目がくっつくことによって、頭蓋骨の成長を部分的に妨げ、頭のかたちがいびつになり、絶壁になる場合があります。
頭蓋骨が正常に拡大できないため、脳の発達に悪影響が出る可能性があり、早期に治療をする必要があります。
赤ちゃんの絶壁をそのままにしておくとどうなるの?
よく「放っておいても自然に治るよ」というアドバイスを聞きます。
ここでは、赤ちゃんの絶壁をもしそのままにしてしまったらどうなるのか、という疑問について解消していきましょう。
頭のかたちが絶壁のまま固まってしまう
絶壁を放置してしまうと、そのまま頭のかたちが固まってしまいます。
赤ちゃんの頭はやわらかく、かたちが変わりやすいので絶壁になりやすいのですが、月齢が進み生後6ヶ月を過ぎると徐々に頭は硬くなり、1歳になるころにはかたちがほぼ定まってきます。
頭のかたちが定まってしまう前、つまり、0歳児の段階で何らかの対策を取らないと、絶壁のまま成長してしまいます。
帽子やメガネを付けにくい頭のかたちになったり、耳の位置が非対称になってしまう可能性があります。
海外では、頭のゆがみが原因で運動や知能の自然な発達が遅れてしまう可能性があるとの報告(※)もされているため、少しでも頭のかたちに違和感を感じたら対策を取るようにしましょう。
※ Hutchison BL, Thompson JM, Mitchell EA. Determinants of nonsynostotic plagiocephaly: a case-control study. Pediatrics. 2003;112(4).
Collett B, Breiger D, King D, Cunningham M, Speltz M. Neurodevelopmental implications of “deformational” plagiocephaly. J Dev Behav Pediatr. 2005;26(5):379–389
赤ちゃんの絶壁を予防するために日常的にできること
赤ちゃんの絶壁は、病気が無ければ、向き癖が原因のことが多く、日常生活の中で予防することができます。
絶壁の予防法として真っ先に挙げられるのは、やはり仰向けになっている時間を減らし、向き癖がつかないようにしてあげることでしょう。仰向けになっている時間が長いと、比例して後頭部が平面に接している時間が長くなり、絶壁になる可能性が高くなります。
適度にうつ伏せにしたり、横向きに寝方を変えてあげましょう。ただ、うつ伏せ寝のまま放置すると窒息する危険性があるので決して目を離してはいけません。
向き癖を付けないように、こまめに声をかけて赤ちゃんを色々な方向に向けてあげるのも対策として有効です。抱っこや添い寝、授乳の向きなどを適度に入れ替えることでも向き癖の対策になるでしょう。
重度の絶壁なら、ヘルメット治療を検討しよう
普段から意識して対策をとっていても絶壁になってしまった、または、生まれた時からの絶壁が治らない…という場合にはヘルメット治療を検討してみるのも良いかもしれません。
ヘルメット治療とは、赤ちゃんの頭のかたちのゆがみを改善するためのヘルメット矯正治療のことです。
適正開始時期:生後2〜6ヶ月 治療期間 :6ヶ月〜1年 費用 :約40万円〜 |
ヘルメット治療は、生後2〜6ヶ月頃の間に治療を開始すると効果が出やすいと言われています。
生後6ヶ月を過ぎてもヘルメット治療を開始することは可能ですが、赤ちゃんの頭蓋骨は日々成長して硬くなっていくため、月齢が進むと治療効果が得られにくくなる可能性があるからです。
生まれて間もない我が子にヘルメットをかぶせるとなると、頭を圧迫してしまうのでは?と不安になるパパとママもいらっしゃるかもしれませんが、ヘルメット治療は出っ張っている頭蓋骨部分の成長をよりも、成長が追いついていない平らな部分の発達をより早く促す治療方法です。
無理に赤ちゃんの頭の成長を塞きとめるわけではありませんので、頭を圧迫して脳に悪影響を与えることはありません。
実際にヘルメット治療を受けた赤ちゃんのパパママの意見も参考に、一度検討してみてはいかがでしょうか。
赤ちゃんの頭のかたちについての悩みは、家族だけで抱え込まないで
ここまで絶壁の原因や対策、ヘルメット治療について触れてきましたが、赤ちゃんの頭のかたちを見ていられる時間が多いのはパパとママです。
赤ちゃんのそばにいるパパやママが違和感を感じたら頭のゆがみを診てくれる医療機関に相談してみましょう。
最後に、赤ちゃんの絶壁を防ぐためにパパママに意識して欲しいことや、パパとママがなるべくストレスを感じないために必要なことをまとめておきますので、ぜひ参考にしてください。
- 絶壁を意識しすぎて左右に向き癖がついたら、今度は斜頭症などにつながるかもしれないので注意が必要です
- 絶壁予防を実践したくても、赤ちゃんは思う通りに動いてくれないということを念頭に置いておきましょう
- 日常生活での予防・治療に難しさを感じたら、気軽に頭のゆがみを診てくれる医療機関の診察を受けてみましょう
絶壁に限らずですが、赤ちゃんの頭のかたちや成長に関する悩みは抱え込んでいてもストレスになってしまうだけで解決には繋がりません。
ここで挙げたような内容を実践し、少しでも穏やかな気持ちで赤ちゃんの頭のかたちと向き合っていけるようにしたいですね。
まとめ|絶壁が気になったら、まずは気軽に相談しよう
今回は赤ちゃんの絶壁について触れていきました。
頭蓋骨縫合早期癒合症などが関連する場合には手術が必要になりますので、絶壁が気になった段階ですぐに受診することをおすすめします。
原因が病気ではない向き癖による絶壁も、赤ちゃんの頭がやわらかいうちに対策をとることが重要です。
今回挙げた原因や対策が、絶壁についてお悩みのパパママを少しでもサポートすることができたなら幸いです。

1989年、東北大学医学部卒業、東北大学脳神経外科入局。1997年、東北大学医療技術短期大学講師。2000年、東北大学医学部脳神経外科講師。2002年、米国フェニックス、St. Joseph’s Hospital and Medical Center, Barrow Neurological Institute 臨床研修留学。2004年、ドイツ:ハノーバー、International Neuroscience Institute 脳神経外科 臨床研修留学。2004年〜2014年、東京慈恵医科大学脳神経外科講師。2014年〜脳神経外科・脳ドック、リハビリテーション病院、人間ドック・検診クリニック部長、院長、内科・整形外科クリニック、訪問診療、と総合診療を経験ののち、2018年より医療法人社団ICVS東京クリニック勤務。2019年、同クリニック院長・理事、現在に至る。
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